「テレワークって本当にメリットがあるの?」
「在宅勤務制度を導入するには具体的に何をすればいいの?」
「在宅勤務制度を導入するときの注意点は何があるの?」
在宅勤務制度の導入を検討している企業が多いのではないでしょうか。
ニューノーマルによりテレワーク・リモートワークが推奨されるようになり、在宅勤務が注目を集めるようになりましたが、実は前々から在宅勤務制度を導入している企業が多いです。
弊社デジマチェーン編集部は、当初からほとんどのスタッフが海外を含む在宅勤務で運用しています。
本記事では、在宅勤務制度とは何か、弊社が運用の中で感じる在宅勤務のメリット・デメリット、課題について紹介します。
弊社の他にも実際に在宅勤務制度を導入して成功している有名企業も紹介するので、今後在宅勤務への切り替えを検討している方は参考にしてください。
在宅勤務をスムーズに導入してコミュニケーションを促進するための、バーチャルオフィスツールを実例を挙げて説明します。
1.在宅勤務とは
在宅勤務とは、企業に雇用されている人が自宅を就業場所にして働く勤務形態のことです。
在宅勤務は雇用型テレワークの3つの働き方の1つで、雇用型テレワークには在宅勤務のほかにモバイルワークやサテライトオフィス勤務が該当します。
また、雇用型テレワークとは別に、個人事業主や小規模事業者などが場所を選ばずに働く勤務スタイルの自営型テレワークがあります。
これまでに在宅勤務を導入している企業は多いですが、一般的には、妊娠・出産、育児、介護などオフィスで働くことが困難な人が対象とされていました。
しかし、ニューノーマルによりオフィス勤務が困難になり、国や地方自治体の在宅勤務推奨により多くの企業が在宅勤務導入を検討し始めたのではないでしょうか。
在宅勤務を導入するためには、メリットやデメリット、導入時の注意点を把握して対策をする必要があるので、後述する内容をしっかり頭に入れておきましょう。
なお、テレワークとよく似た“リモートワーク”というワードを耳にすることもあるでしょう。
リモートワークとテレワークの違いについて具体的に紹介しているので、あわせてご覧ください。
2.在宅勤務制度のメリット
在宅勤務制度には以下のようなメリットが考えられるでしょう。
メリットにも企業側と労働者側で異なり、両方にとってどのようなメリットがあるのか把握しておく必要があります。
【被雇用者側】
- 通勤にかかる時間や費用を削減できる
- 仕事とプライベートを両立できる
【雇用者側】
- 全国から場所に限定されずに人材を雇える
- 事業を継続させやすい
- 育児や介護世代の離職を防ぐことができる
在宅勤務制度は労働力不足解消に有効であることは間違いないでしょう。
人が集まりにくい地方都市を本拠地に置いても、都心を含めて優秀な人材を雇うことができます。
また、子育てや親の介護のために働きたくてもオフィスで働けない女性従業員の確保もすることも可能です。
従業員の離職に困っている企業や従業員満足度を向上させたい企業にとって有効な取り組みではないでしょうか。
在宅勤務のそれぞれのメリットについて詳細を説明しているので、対策の参考にしてください。
3.在宅勤務制度のデメリット
在宅勤務制度のデメリットを紹介します。
【被雇用者側】
- 孤独な勤務状況で精神的に不安定になる可能性がある
- 自分のプロジェクト管理・時間管理の負荷
【雇用者側】
- 従業員の作業の進捗の把握が難しい
- 情報漏洩のリスクが高くなる
- 怠け癖がある従業員がいれば労働生産性が低下しやすい
- パソコンやWi-Fiなどの労働環境を整えなければならない
従業員の中には1人で仕事をすることに不慣れな人がいるものです。
人とのつながりを大事にしている人は、1人で働く環境下では孤独を強く感じ、精神的に不安定になることもありえます。
上司の管理が行き届かない環境では、仕事に集中できずプロジェクトが滞ってしまう従業員もいるでしょう。
自宅で働ける環境が整っていなければ、コストをかけて労働環境を整えるところから始める必要もあるでしょう。
上記のデメリットは企業の損失につながる可能性が高いので、どのようなデメリットがあるのか把握して放置せずにしっかり対策しましょう。
4.在宅勤務の導入を失敗させないための3つの方法
在宅勤務制度の導入を成功させるために必ず行っておくべきことは主に以下の3つです。
順に説明するので、導入時の対策のヒントにしましょう。
プロジェクト進捗状況を適切に管理する
プロジェクト進捗状況を適切に管理できるかが、労働生産性の低下を防ぐためのカギです。
自分でスケジュールを組み、公私の切り替えができる人は真面目に作業を進めるでしょう。
しかし、中には職場が自宅になると、なかなかプライベートモードから仕事モードに切り替えることができずにダラダラと過ごしてしまう人もいるものです。
公益財団法人 日本生産性本部が2020年7月に行った第2回「働く人の意識調査」によると、50%が在宅勤務の効率が上昇したと答えています。
逆に言うと、半分の働き手は在宅勤務中の生産効率に不安を持っていることになります。
在宅勤務中はコミュニケーション量が少なくなるので、全体のプロジェクト状況が見えにくくなりがちです。
作業が停滞してしまうと部署内の業務全体が滞ってしまう場合があるので、小まめに作業の進捗状況を把握する必要があります。
成果物の提出期限を小まめに区切ったり、定期的に作業の進捗状況の報告をする場を作ってプロジェクトの管理を徹底しましょう。
重要なのは、「人」を管理することではなく、「プロジェクト」を管理することです。
自宅にいても業務状況が適切に管理されていることを意識づけることで、従業員も緊張感や張り合いを持ちながら作業できます。
ITセキュリティ対策を実施しておく
ITセキュリティ対策に力を入れなければならないことも課題の1つです。
2020年7月にITセキュリティ企業トレンドマイクロ社が行った、ロックダウン中の在宅勤務者のITセキュリティに関する調査によると、以下のようなITセキュリティの懸念点が発覚したとのことです。
- 56%が、仕事用デバイスで使用許可のないアプリを使用した
- 66%が、会社データを使用許可のないアプリにアップロードした
- 39%が、頻繁に、または常時、個人用デバイスから会社データにアクセスした
- 8%が、仕事用デバイスからポルノサイトにアクセスし、7%が闇サイトにアクセスした
在宅勤務になると、社内で情報を扱うよりも情報漏洩のリスクが高くなります。
プライベートのパソコンを使用する場合は、セキュリティ対策が不十分の場合が多いです。
可能な限り、企業側がウイルスソフトをインストールしたパソコンを用意した方がよいでしょう。
そして、リモートワークからの接続に関する社内ルールをきっちり設定し周知しましょう。
もし、従業員1人ひとりにパソコンを用意できなければ、アクセス制限を設けたり情報漏洩のリスクの教育をしたりするのも有効です。
セキュリティ対策で企業ができることもありますが、対策のメインは情報を扱う従業員なので事前の教育をしておきましょう。
コミュニケーション促進ツールを導入しておく
従業員が働きやすい環境を整えるためにも、在宅勤務で不足しがちなオフィスでのコミュニケーションを補完するツールの導入が必要です。
アデコ株式会社が行った「テレワーク未経験の管理職と一般職のテレワーク意識比較調査」によると、テレワーク下でのコミュニケ-ションに関して以下の問題が報告されています。
- 約4割が、上司・部下間でコミュニケーションの頻度・時間ともに減少
- 約5割の管理職が「部下とのコミュニケーション」、「他部署との連携」で不安
- 約5割の一般職が「同僚との連携」で不安
- テレワークにおける最大の課題は「チーム間でのコミュニケーション不足」(管理職33.3%、一般職42.7%)。また、約3割が上司・部下間のコミュニケーション
意外に、オフィスでのあいさつや、喫煙室や休憩スペースでの雑談などのちょっとしたコミュニケーションが、社内での情報伝達や人間関係の改善に重要だったりします。
オフィスでのコミュニケーションを補完するツールにはリアルタイムで連絡を取れるコミュニケーションツールや、従業員が同じオフィスで働いているようにできるバーチャルオフィスなどがあります。
在宅勤務でツールを活用できるように、日々の通常業務で一度試しに導入することをおすすめします。
この記事では、オフィスならではのコミュニケーションをWeb上で再現するバーチャルオフィスツールを紹介します。
5.コミュニケーションを促進するオススメのバーチャルオフィスツール
在宅勤務導入で失われがちなオフィスでのコミュニケーションを補完する、3つのおすすめバーチャルオフィスツールをご紹介します。
導入される際には参考にしてください。
それぞれのツールについて説明します。
クラウドオフィスRISAはアバターで出勤するバーチャルオフィス
株式会社OPSIONが運営するクラウドオフィスRISAは、アバターで仮想空間上のオフィスに出勤する新しいワークスタイルを提案してくれます。
在宅勤務の人もオフィス勤務の人も同じように働ける場所を作りたい、という思いで作った新しいバーチャル空間上のオフィス体験です。
オフィス機能の代替を目的としており、アバターやバーチャル空間を活用して、まるでオフィスに出勤して働いているかのようにコミュニケーションできます。
ちょっとした雑談機会や相手の様子の察知など、テレワーク環境で失われた、1つの居場所を共有する体験を離れていても実現するニューノーマルの最適なオフィス空間です。
通常のPCブラウザで動作するので、導入ハードルが低いのも大きな魅力でしょう。
Remottyはオフィスの今の状況を自然に可視化
株式会社ソニックガーデンが運営するRemottyは、PCのカメラで自動撮影された写真が2分間隔で仲間に共有されるので「今」の様子がひと目でわかる仮想オフィスツールです。
他にも、以下のような特徴があります。
- オフィスと同様に各自の座席スペースがある
- 雑談がSNSのようにタイムラインで流れます
- ワンクリックでオンライン会議を開催できる
- 入室(アクセス開始)および退室(アクセス終了)ログを自動で見える化してくれる
- Googleカレンダー、Office365、iCalendarで予定を共有できる
まるでオフィスにいるように周囲の状況を把握しやすく、自分や他の人の存在や行動が自然と見える化される工夫がなされています。
【Sococo】は30種類以上の仮想オフィスレイアウトを用意
Sococoは、30種類以上の仮想オフィスレイアウトを用意していますので、オフィスの人数や雰囲気に合わせて個性的な仮想オフィス空間を構築できます。
オフィスで働いている人、リモートワークやテレワークの人が、まるでワンフロアにいるかのようにコミュニケーションしやすくなるツールです。
インストールは不要で、Google Chromeがあればすぐに利用できます。
会議ゲストも、URLを渡すだけでWEB会議に招待でき、ユーザー登録は必要ありません。
Android/iOSのモバイル版もあるので、社外で営業中の担当のデバイスから顧客にあいさつするなどの使用もできます。
6.在宅勤務制度の導入事例4選
在宅勤務のデメリットを把握して、導入を成功させている企業を4社紹介します。
- 株式会社WORK SMILE LABOは女性の働く環境向上
- 株式会社リクルートマネージメントソリューションズは8割が生産性向上
- 株式会社Warisは独自のコミュニケーション不足対策
- 株式会社ガイアックスは離職率低下
順に紹介するので、事例を参考にして自社に合った在宅勤務制度を導入しましょう。
株式会社WORK SMILE LABOは女性の働く環境向上
株式会社 WORK SMILE LABOはコンピューターやコピー機などのOA機器の販売やテレワークなどのワークスタイルの提案などを行っている企業です。
WORK SMILE LABOでは、パソコンを全従業員に支給してオフィス外からも社内のサーバーにアクセスができるようにしました。
この取り組みによって、自宅と営業先間で直行直帰ができるようになり、子育て世代の従業員は在宅勤務で仕事と子育てとの両立も可能になったのです。
また、従業員のモチベーションを維持するために、Web会議室システムを導入して、オフィス外で仕事をしていても他の従業員との同一空間を体感できるようにしました。
実際に子供との接する時間が増加しているなど、女性が働きやすい環境になったことを実感している声が多くあります。
特に女性の従業員が多い企業は、WORK SMILE LABOの働き方をヒントにしてみましょう。
株式会社リクルートマネージメントソリューションズは8割が生産性向上
株式会社 リクルートマネージメントソリューションズは経営・人事課題の解決を支援するサービスを提供しています。
多様な働き方を選択できるようにテレワークを導入し、通勤時間の削減など仕事の効率化のために、在宅勤務か直行直帰勤務の2つのパターンから選べるようになりました。
リクルートマネージメントソリューションズが行ったテレワークの導入方法や成果が評価され、一般社団法人日本テレワーク協会が実施した第15回テレワーク推進賞ではなんと優秀賞を受賞したのです。
成果を測定するアンケートでは回答者の78%が生産性が向上したと回答していました。
自宅で業務に集中するために事前の打ち合わせや在宅勤務とオフィス勤務の業務の分別化、社員の時間管理の意識向上が生産性が上がった一因といえるでしょう。
在宅勤務により生産性の低下が心配な企業は、リクルートマネジメントソリューションズの導入例を参考にしてください。
株式会社Warisは独自のコミュニケーション不足対策
株式会社 Warisはフリーランスと企業を結ぶマッチングサービスを提供しています。
オフィスコストの削減を目的に在宅勤務やフレックスタイムの導入をしました。
フレックスタイムとは従業員が労働時間を決めることができる制度のことで、Warisはコアタイムを2時間に設定し、5時~22時までをフレックスタイムとして導入したのです。
在宅勤務で従業員間のコミュニケーション不足を危惧し、カフェ代やランチ代を支給して定期的に上司や他従業員と顔を合わせられる取り組みを実施しました。
オフィスコストを削減する代わりにコミュニケーション不足解消にコストを割くことで、在宅勤務ならではの従業員の精神的な問題の対策をしています。
コミュニケーション不足をツールの導入により対処している企業が多いですが、Warisのように直接従業員同士がコンタクトできるような場を設けるのも有効ですね。
実際に、テレワークを導入して約70%の残業時間の削減に成功した従業員もいるので、対策の1つとして参考にしてみてはいかがでしょうか。
株式会社ガイアックスは離職率低下
株式会社 ガイアックスはソーシャルメディア・ソーシャルアプリに関する事業を行っている企業です。
ガイアックスは採用活動にオンライン面接を導入したりオンライン飲み会のサービスを提供したりと発想が多様化しており、テレワークの導入もしています。
テレワークを導入したことによって、従業員の離職率が25%まで低下し従業員満足度が上昇しました。
また、従業員満足度の向上により、社員の紹介による優秀な人材を確保も可能になったのです。
オフィス勤務が当たり前になっている企業は固定観念を払拭するのに時間がかかるかもしれませんが、採用の幅に広がりができるので、離職率が高く人材不足に陥っている企業は在宅勤務の導入を検討してみましょう。
まとめ
オフィス勤務から在宅勤務に切り替えることで、コスト削減や生産性の向上などのメリットが期待できます。
ただし、従業員の管理やセキュリティ対策、従業員の精神的な問題などのデメリットに注意しなければなりません。
オフィスでのコミュニケーションの量と質の低下に対処するために、バーチャルオフィスツールの使用を検討しましょう。
在宅勤務のデメリットや課題を受け止め、しっかり対応して在宅勤務導入を成功させた企業も多いです。
在宅勤務導入を検討している企業は、今回紹介した企業例を参考にして、オリジナルの対策を取り組んでみてください。
なお、在宅勤務を導入する際に決めておくべき就業規則について以下の記事にまとめているので、あわせてご覧ください。