ソリューション営業って具体的にどういう意味?
ソリューション営業のスキルってどうして必要?
どうやったら自然にソリューションセールスのスキルが身につくの?
これからはソリューション営業のスキルがないと生き残れない!とよく言われますが、用語だけが先走っている感が否めません。営業の場数と年数だけを踏んでいれば、誰でもソリューション営業スキルを身につけられるわけでもありません。
しかし、この記事で説明する簡単な3ステップを意識的に繰り返すことによって、年齢や口数手数の多さに関係なく、誰もが高価値の営業人材になれるでしょう。ソリューション営業のスキルを身につけておけば、経営者であろうと被雇用者であろうとAIの台頭に怯える必要はありません。
デジマチェーンが、ソリューション営業とはなんなのか、メリットはなにか、また手に入れるための3ステップとコツを解説していきます。
ニューノーマル時代の常識になっている、オンライン商談の動向とおすすめツールについてはこちらの記事にまとめています。
1.ソリューション営業とは何か?
ソリューション営業とは、顧客が抱えている問題・ニーズに対してオーダーメイドで解決策を提示していく営業手法のことです。
ソリューション営業は、従来の営業のイメージではある「商品を押し売りする厚かましい人」とは異なり、顧客の根本的問題を自ら考え解決する営業スタイルです。
そのため、既存製品を右から左へ流して行くような従来の営業手法よりも、高度なスキルが必要になり、難易度が格段に高まります。
「ソリューション営業は従来の営業スタイルと、具体的にどんな違いがあるんだろう?」
そんな風に思われる方も多いかと思います。
従来の営業手法は、多かれ少なかれ以下の2つに分類されます。
- 御用聞き営業
- 商品提案型営業
ここからは、それぞれの営業スタイルの特徴やソリューション営業との比較などをご紹介していきます。
コミュニケーションスキル頼みの御用聞き営業は絶滅寸前
御用聞き営業とは、名前の通り顧客が抱えている問題をヒアリングして、顧客が望む商品を提供するという営業スタイルです。
御用聞き営業は、現代ではほとんど価値を持たず、実践している営業マンも少数です。
以下では、御用聞き営業の特徴を解説します。
御用聞き営業は誰にでもできる
御用聞き営業は、はっきり言って誰にでもできます。
ある程度コミュニケーション能力のある人なら、営業経験なしでもできてしまうのが御用聞き営業のメリットです。
しかし、誰にでもできるがゆえに、御用聞き営業ばかりやっていても、あなたの営業スキルは上がりませんし、キャリアとしても限界があります。
そのため御用聞き営業は、現代ではほぼ不要になりました。
インターネットが発達していない頃には、御用聞き営業にもそれなりに価値がありました。
解決策に関する情報の入手が難しく、目の前の問題を解決できないビジネスマンが大勢いたからです。
しかし、今ではスマホで検索すれば、ほんの数分であらゆる問題の解決策を手に入れられますよね。
そんな時代に、御用を聞きに来る営業スタイルは通用しません。
情報のアクセスが容易になった現代では、御用聞き営業は不要なのです。
商品提案型営業はAIの台頭で押しのけられる可能性
商品提案型営業とは、顧客の要望・問題に合わせて自社の製品などを提案していくスタイルの営業です。
御用聞き営業よりはまだ価値がありますが、こちらの営業スタイルも少しずつ価値を失いつつあります。
以下では、特徴を解説します。
単純化されAIに代替されやすい。
商品提案型営業はAIに代替されやすいです。
御用聞き営業との違いは、顧客の望む願望をかなえるべく、さまざまな商品を提案し続けることです。
御用聞き営業は商品1つを紹介しているのに対して、商品提案型営業は商品を数個紹介することができるのです。
そのため、御用聞き営業よりも顧客が商品を買ってくれやすく、顧客に満足してもらえる確率が高いことが商品提案型営業のメリットです。
もちろん、御用聞きよりも高い営業スキルが必要とされることは、間違いありません。
しかし、商品提案型営業ではAという問題が発生すれば商品Bを提案し、Cという問題が発生すればDを提案するという形で単純化することができます。
単純化できる商品提案型営業はこれからの時代、情報の発達に伴い、どんどん衰退していきます。
また、商品提案型営業は1つの問題が解決されると、それでもう用無しと考えられやすいです。
商品提案型営業では、あくまで顕在化している顧客ニーズに対応しつつ、商品を提示していきます。
つまり、すでに明確化されている問題を解決していくことはできますが、さらに踏み込んで潜在的なニーズを発掘することはありません。
ですので、顧客が抱えている問題が解決されたら、もう用無しと考えられやすいのです。
2.ソリューション営業の3メリット
ソリューション営業では、顧客が抱えている問題を徹底的に考え、顕在化している問題だけでなく、潜在的ニーズにもアプローチしていきます。
ソリューション営業には、他の営業手法では対応できない次の3つのメリットがあります。
- 複雑化したビジネスに対応できる
- 顧客と濃いリレーションを構築できる
- AIに代替されないスキルが身につく
順に説明していきます。
複雑化したビジネスに対応できる
ソリューション営業ができると、複雑化したビジネスモデルにも対応できるようになり、あなたのプレゼンスは格段にアップします。
それは、ソリューション営業が複雑化したビジネスモデルに対応できるからです。
ITの発達によりビジネスにおける問題はますます複雑になってきている中、正解がない問題に対して、仮説検証を高速で行い、最適解を導き出す能力が必要とされています。
逆に言えば、深い思考をせず、顕在化している問題に対して過去の事例で解決策を提案するような営業スタイルはどんどん機械に取って替えられていきます。
顧客との濃いリレーションを構築できる
ソリューション営業ができれば、顧客と濃いリレーション(関係性)を築くことができます。
インターネットで様々な情報が簡単に手に入るようになってきた反面、信頼できる情報がどんどん分かりづらくなってきています。
営業マンは、顧客に対して「この人の言うことなら、信頼できる」と思ってもらえる関係を築く必要性が出てきています。
そのため、ソリューション営業では顧客と関係性を築くことができるのです。
AIに代替されないスキルが手に入る
ソリューション営業は、これからの時代に営業マンが生き残る唯一の方法と言っても過言ではありません。
顧客はわからないことがあっても、Googleを使えば数分で解答を得られる時代になりました。
ビジネスの現場で起こる簡単な問題は、ほとんどGoogleが解決してくれ、御用聞き営業は不要なのです。
しかし、ソリューション営業ができる営業マンは、顧客と向き合い複雑に絡み合った問題を紐解いて抜本的な解決策を投じることができるため、顧客から長期にわたって必要とされます。
3.ソリューション営業スキルを手に入れるための3ステップ
ソリューション営業については理解した今、具体的にどんなステップを踏めばソリューション営業スキルが手に入れられるか考えましょう。
ずばり、ソリューション営業スキルを手に入れるための3ステップは以下です。
- 調査分析
- 仮説思考
- 解決策提案
毎朝、営業活動を始める前に、5分でいいので上記の3ステップを意識するだけで結果はガラッと変わるでしょう。
AIに代替されない、あなただけの営業力を身に付けたいという方は、ぜひ先を読み進めてください。
調査分析
まずは、対応する顧客とその業界に関して、徹底的に調べましょう。
最初にやることですが、最も大事なフェーズですので、具体的には以下のポイントを押さえつつ、調査しましょう。
- 競合はどこか?
- 顧客の強みはなにか?
- 他社で類似事例はないかどうか?
- 顧客が抱えている、顕在問題・潜在問題は何か?
- 問題のボトルネックはなにか?
- 自分と顧客の間に、状況認識の齟齬(そご)はないか?
類似の事例についてはもちろん、同じ解決策が通用するかどうかは分かりません。
あくまで、参考程度に見ておくというスタンスが良いでしょう。
また、ソリューション営業の最も大事なポイントとして、顧客の潜在的問題は何かを意識することが大切です。
例えば、ある商店がAという商品の売れ行きの悪さに悩んでいるかもしれません。
しかし、実はその商店の顧客はAという商品になにか不満を持っているわけではなく、単に特定の悩みを解決するためには、その商店のBという商品の方が向いていると判断して、Bを購入しているのかもしれません。
その場合、ソリューション営業のスキルがあるなら、商品Aへ割引訴求や景品訴求をつけて無理に売上を増やすのではなく、商品Bとは異なる訴求を作り出すことで新たな需要を生み出せるでしょう。
この調査フェーズにおいて、顧客との認識のズレがあるとのちの解決策も意味をなさなくなり、致命的です。
ですので、調査段階において、顧客に対してしっかりヒアリングを行い、ご自身と顧客との間に認識の齟齬がないかを確認しておきましょう。
仮説思考
次は仮説ベースで、根本的な問題と解決策を考えていきましょう。
このステップは、やや抽象的なイメージがありますが、全てのビジネスにおいて必要となるものです。
仮説思考をする際は、以下のように思考すると整理しやすいです。
- 顧客が本当に求めている理想の状態とは何か?
- 理想の状態になるため、ボトルネックとなっている問題は何か?
- ボトルネックを解消する解決策は何か?
ソリューション営業の目的は、顧客が抱えるボトルネックを解消することです。
なので、ボトルネックは何なのか?を考えることに時間を使いましょう。
この時点では、まだ仮説ベースで思考を整理していき、次のフェーズで顧客へ提案します。
なので、ボトルネックと解決策はセットにして複数用意しておくと良いでしょう。
解決策提案
どれだけ優れた仮説思考力を持っていても、提案が魅力的でなければ、相手の意思決定を動かすことはできません。相手の意思決定を動かす、提案スキルが必要になります。
いわゆるプレゼンスキルに近いですが、苦手意識のある方は、いきなり顧客に対して提案するのではなく、まずは以下の方法を参考に上司や同僚、そして顧客に意見を聞くことをおすすめします。
前もって上司や同僚からフィードバックを得よう
顧客への提案をする前に、上司や同僚にチェックしてもらい、客観的なフィードバックを得ておきましょう。この際は、以下のポイントについてフィードバックを得ておくと良いです。
- 提案内容について、分かりにくい説明はなかったか?
- 提案内容全体について、論理的な矛盾点はなかったか?
- 顧客に承諾してもらえるような、説得力がある内容だったか?
- 上から一方的に押し付けるようなイメージを、相手に植え付けていなかったか?
- 顧客の潜在的問題を抜本的に解決する魅力的な提案に思えるか?
これらのポイントについて率直な意見を求めましょう。
顧客に行う提案だということを伝えて、厳しめのフィードバックをもらうようにしましょう。
この時間を設けることによって、実際に顧客に対して提案を行う際のイメージを自分の中で持つことができます。
顧客からの意見を汲み取り、次へ生かそう
顧客へ提案した際には、どういった反応を得られたか、感想はどうだったかをしっかりとヒアリングし次の提案へ生かすようにしましょう。
顧客へヒアリングする際は、以下のポイントを押さえると効果的です。
- 提案のどのポイントに惹かれたか?もしくは、惹かれなかったか?
- 提案の中で顧客のニーズに沿っていない部分は、見受けられたか?
- 提案の中で分かりにくい、もしくは矛盾していると感じた部分はあったか?
これらのポイントを押さえつつヒアリングを行い、得られた知見をもとにして次の提案の際に改善していけば、自然とあなたの営業力はアップしていきます。
逆に言えば、提案スタイルを改善しない営業マンは停滞し続けます。あなたの営業力を高める貴重なチャンスですので、顧客からのヒアリングは面倒臭がらず必ず行うようにしましょう。
営業でのヒアリングについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
ソリューション営業しか営業マンの生きる道はないと言っても過言ではありません。
この記事を読んだ後は、実践あるのみです。
ぜひ、この記事を読んで終わりではなく、実践を通して成果が上がる営業担当になってください。