「会社の運営にあたって銀行融資を受けたいが、どのように動けばいいの?」
「銀行融資を受けるために何に気を付ければよいのか分からない」

このように悩んでいませんか?

実は銀行融資の概要を知りいくつかの手順やポイントをおさえることで、銀行融資に通りやすくなります!

この記事では、銀行融資の概要や融資を受けるための3つの手順に加えて、融資に通るために気を付けたい3つのポイントについても紹介します!

この記事を読んで銀行融資について理解し活用することで、自社の会社運営に役立ててください。

中小企業が使える鉄板資金調達方法である補助金・助成金・融資について完全解説した記事です。

1.銀行融資の概要

銀行融資とは、銀行が企業や個人に対して特定の目的のために資金を貸し出すことです。

事業の創業資金や運転資金が必要となった際に、資金調達の1つの手段として銀行からの融資を選ぶことができます。

融資は資金の明確な用途や返済計画が決まっていてはじめて借入が実行されることが大きな特徴です。

融資にあたっては、企業が銀行の融資基準に基づいて格付けされることになり、格付けに応じて融資限度額や金利を決めることになっています。

当然のことながら格付けの高い会社ほど融資限度額は高く、金利は低くなります。

(1)銀行融資の審査基準

審査基準

銀行融資の審査基準として、以下の4つの指標が挙げられます。

  1. 収益性
  2. 生産性
  3. 成長性
  4. 安全性

これらの審査基準を、事業計画書や銀行との面談を元に判断されることになります。

さらに、これらの定量的なデータでは測れない定性的なデータ(時代や経済の流れ等)も加味して最終的な融資判断が下されます。

4つの審査基準の詳細について順番に説明します。

#1.収益性

収益性は企業が儲ける力のことで、損益計算書上の売上高純利益率(売上純利益を売上高で割った数字)で判断します。

融資が通るためには売上高純利益率が何%以上必要というように具体的な数字が決まっているわけではありません。

当然のことながら黒字決算でない場合には融資を受けるのは相当厳しいでしょう。

一般的に優良企業の売上高純利益率は10~20%(超優良企業は35%)と言われているため、10%が1つの目安と言われる場合もあります。

このように、銀行融資の審査を受ける際は収益性が判断基準の1つとなり、売上高純利益率の高さで判断されることになります。

#2.生産性

生産性は商品・サービスを生み出す際の効率性を図る指標で、生産効率(アウトプットをインプットで割った数字)で判断します。

アウトプットはその企業の商品・サービスで、インプットは原材料・人件費・光熱費などです。

少ないインプットで多くのアウトプットを生み出せる企業ほど生産効率が高いことになります。

生産効率が悪いと今後の収益アップが見込みにくいため、融資の判断としてはマイナス要因です。

このように、銀行融資の審査を受ける際は生産性が判断基準の1つとなり、生産効率の高さで判断されることになります。

#3.成長性

成長性は売上の大きさや伸びを図る指標で、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書を使って判断します。

単純に資産と負債の比率はもちろんのこと、長期の借入がある場合は返済が滞っていないか今後の返済の見通しが立っているかが重要です。

また、損益計算書で売上と利益のバランスも確認することで、うまく経営できているかも確認されます。

このように、銀行融資の審査を受ける際は成長性が判断基準の1つとなり、売上の大きさや伸びを見るとともに今後の成長を妨げる要因がないかも確認されることになります。

#4.安全性

安全性は、融資した資金を銀行が確実に回収できるかを見る指標で、売掛金回収の回転率や担保・保証の有無で判断します。

売掛金は商品を販売したけれどまだ回収できていない代金のことで、貸借対象表上で確認できます。

売掛金の回収率が悪ければ、そのまま入金されずに不良債権となるリスクがあると判断され兼ねません。

また、もしも現金での返済ができなくなった場合に担保や保証などで回収可能かという点も確認されます。

特に創業間もない企業であれば、銀行からの信用が低いため信用保証協会の保証付き融資を受けることが一般的です。

このように、現行融資の審査を受ける際は安全性が判断基準の1つとなり、売掛金の回転率や担保・保証の有無を確認されることになります。

(2)銀行融資の審査期間

審査期間

銀行融資を依頼してから融資が決定するまでの審査期間は、金額や条件によって変わりますが半月~1カ月程度かかります。

ローンなどといった借金の場合は資金の用途は問わずに返済能力だけを重視するため比較的早く審査が終わります。

しかし、銀行融資は資金の用途や返済計画を含めたさまざまな観点からの審査が必要ですので、審査期間が長くなるのが特徴です。

また、通常金額によって銀行の支店内で決裁か本部の決済かがルール化されており、金額が大きくなるほど決済者が多くなり時間がかかります。

さらに、信用保証協会の保証付き融資の場合は信用保証協会の保証を受けるために1カ月程度かかります。(信用保証協会の保証付き融資は必要書類も多く、申請までに作成の時間を要することも意識しておきましょう。)

信用保証協会以外でも担保付きの貸し出しの場合は担保の審査も必要になるため審査期間は長くなります。

これらを踏まえたおおまかに銀行融資の審査期間の目安は下記の通りです。

  • 担保なし・銀行支店内決裁の場合→2週間程度
  • 担保なし・銀行本部決裁の場合→3週間程度
  • 担保ありの場合→1カ月程度

上記は一般的な審査期間ですが、書類不備や銀行側の体制、審査が通るかぎりぎりのラインの場合などにはさらに期間が延びることもあります。

実際に資金が必要となる時期に慌てることのないよう、余裕を持って融資の申請を行いましょう。

2.銀行融資の3つの手順

3つの手順

ここからは、実際に銀行融資を行う際の手順を以下の3つに分けて紹介します。

  1. 必要書類を準備する
  2. 銀行へ融資を申し込む
  3. 追加書類の提出や面談を行う

順番に説明します。

手順1.必要書類を準備する

必要書類を準備

まずは必要書類を準備します。

銀行によって必要な書類はさまざまですが、一般的に銀行融資に必要とされる書類は以下の通りです。

  1. 決算書類(貸借対照表・損益計算書・科目別付属明細書を連続3期分)
  2. 資金繰り表(下に解説)
  3. 資金使途を明確にする資料(運転資金・つなぎ資金の場合、受注書や見積書など)
  4. 売買契約書(設備資金の融資を希望する場合)
  5. 事業計画書(新規事業への融資を希望する場合)

資金繰り表とは会社の現金の動きを表したもので、現金主義で記載します。

銀行から指定フォーマットを渡されることもありますが、自社で自主的にも作成できます。

銀行に融資を通してもらうためには、資金繰り表を使って資金使途と返済財源の健全性を理解してもらうことが大切です。

実績値は正確な数字を記載し、予測値についても根拠に基づいた数字を記載することが重要になります。

その上で、掛けや手形の取引先に現金交渉するとか無駄な資産を売却するなどの工夫により、資金繰り表上の借入金の返済よりも毎月の売上予測を上回らせることがポイントです。

当然のことながら毎月の売上予測が借入金の返済より下回るような資金繰り表では融資は通りません。

資金繰り表を作ることは手間がかかりますが、銀行に借りた資金を必ず返すことの強い意思表明になりますのでしっかりとした内容のものを作りましょう。

このように、融資を行う際には各種書類を準備する必要があります。

手順2.銀行へ融資を申し込む

融資を申し込む

次に、銀行へ実際に融資を申し込みます。

銀行への申し込みは、経営者が直接窓口を訪ねても良いですし、自社に訪問してくる銀行員がいれば相談するのもよいでしょう。

できれば知人や税理士事務所などの伝手を頼って紹介してもらうのがおすすめです。

紹介等がなく飛び込みのような形で訪問すると、資金繰りに困っているのではないかという第一印象を持たれ兼ねませんが、知人や税理士事務所から良い形で紹介されれば優良な営業先として前向きに捉えてもらえるからです。

いずれの場合でも、自社の会社案内や資金の必要性を簡単にまとめた資料などを持参し、身だしなみも整えて、信頼できる経営者だという印象を持たれるよう心がけましょう。

手順3.追加書類の提出や面談を行う

追加書類の提出や面談を行う

銀行へ融資を申し込み必要書類を提出したあとは銀行が主導で審査を行いますので、銀行から指示に従って追加書類の提出や面談を行うことになります。

銀行に自社を理解してもらえればもらえるほど融資の審査には有利に働きます。

不利な情報でも隠し立てせず誠実な対応をすることで、銀行との信頼関係を構築しましょう。

また、銀行の融資審査のプロセスで面談は必ず行います。

提出書類によって定量的な評価を行いますが、面談によってそこに定性的な評価が加わります。

経営者としての経営能力・後継者の有無・市場における成長度合いなど書類だけでは分からないさまざまなポイントを確認する場です。

また、経営者としての熱意をしっかりとアピールすることで、何とかこの企業を応援するために融資を通したいと銀行側に思ってもらうことも大切です。

このように、銀行へ融資を依頼した後も、追加書類の提出や面談などを行い、その結果を総合的に判断して融資の可否が決定されることになります。

3.融資審査に通るための3つのポイント

3つのポイント

銀行融資において、このポイントを押さえれば確実に融資審査に通るというような裏技は存在しません。

上述の通り、銀行はさまざまな観点から貸した資金がきちんと返ってくるのかを確認するからです。

また、財務諸表は今までの企業が積み上げてきた結果であり、融資を受けるために良い数字に書き換えられるものでもありません。

とはいえ、融資を受けるにあたって何の準備もせず丸腰で臨んでは通るものも通りません。

今までの実績にプラスして下記の3つのポイントをおさえることで融資審査に通る可能性を広げましょう。

  1. 自社の将来性や成長力をアピールする
  2. 正確な資料を提示する
  3. 具体性のある計画を立てる

順番に説明します。

ポイント1.自社の将来性や成長力をアピールする

自社の将来性や成長力をアピールする

融資審査を有利に進めるためには、自社の将来性や成長力をアピールすることが重要です。

銀行は、金融庁から決算書からの定量的な評価だけでなく事業性を評価するようにと指示されています。

つまり、企業のビジョンや強み・市場環境・競合状況・将来性などを深く理解した上で、事業性の評価に基づいて融資可否を判断するよう指導されているのです。

この動きは、決算書で強みを発揮できない企業にとっては挽回のチャンスです。

銀行からの指示を待つのではなく、アピールできる情報は銀行へ積極的に提示し、少しでも自社の魅力を分かってもらうように努力しましょう。

このように、融資を通すためには自社の事業性を高く評価してもらえるよう銀行に積極的に働きかけることが大切です。

ポイント2.正確な資料を提示する

正確な資料を提示する

融資審査を有利に進めるためには、正確な資料を提示することが重要です。

当然のことながら、融資審査を通すために書類の数字を書き換え粉飾することは、銀行との信頼関係を裏切ることになるため絶対にやってはいけません。

また、意図的でなくても資料に不備や矛盾点が見つかることも、企業としての信用が低下しますので十分に気を付けましょう。

例えば事業計画書に書かれていたものが資金繰り表に表れていないなど資料ごとの整合性がとれていない場合も、資料が場当たり的に作られたもののように感じられてしまいます。

このように、融資を通すためには銀行へ提出資料は不備なく正確に作成するよう心がけましょう。

ポイント3.具体性のある計画を立てる

具体性のある計画を立てる

融資審査を有利に進めるためには、具体性のある計画を立てましょう。

銀行から融資を受けることで事業が好転し業績が上がる計画を立てなければなりません。

とはいえ、計画が机上の空論では説得力がありません。

あくまで今までの事業や取り組みの延長線上にある計画でないと実効性が感じられないからです。

融資審査のための提出資料作成を良いきっかけとして、実際に実行できる施策は何なのかを突き詰めなるべく具体的に落とし込むことが大切です。

まとめ

この記事では、銀行融資の概要や融資を受けるための3つの手順、融資に通るために気を付けたい3つのポイントを紹介しました。

銀行融資の手順やポイントをおさえることで、銀行融資に通る可能性を高めることができます。

ぜひこの記事を読んで銀行融資を理解しうまく活用することで、自社の会社運営にお役立てください!

融資の手数料について詳しく書いている記事もあるのでそちらもご覧くださいね!

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