「ニューノーマル(新しい生活様式)対策として早急に在宅勤務を導入したいが、在宅勤務を始めるにあたってデメリットはないの?」
「在宅勤務をスムーズに導入するためにはどのような対策を行えばいいのだろう?」
このように悩んでいませんか?
実は企業が在宅勤務を導入する際にはいくつかのデメリットが想定されるため、それらのデメリットを把握してあらかじめ対策を講じておくことが在宅勤務をスムーズに導入させるためのポイントになります。
今回は、在宅勤務の概要や在宅勤務の導入時に想定される4つのデメッリトを紹介するのに加えて、デメリットを克服する4つの方法についても解説します。
この記事を読んで在宅勤務の導入時に想定されるデメリットについて正しく理解し克服することで、スムーズに在宅勤務を導入して自社の生産性を向上させましょう!
「テレワーク4つの導入方式とは?・必須ツール11選」も併せてご覧ください。
1.在宅勤務とは
在宅勤務とは、企業に雇用されている従業員がオフィスに通わず自宅で仕事を行う働き方です。
在宅勤務の多くはパソコンを利用した業務を行う人に適用されており、会社からノートパソコンを貸与されたり自宅のパソコンから会社のネットワークに接続する形で業務を行います。
在宅勤務を取り入れることで、従業員は時間や場所にとらわれない働き方ができワークライフバランスの向上やライフステージの変化への対応が可能となり、企業側としても優秀な人材の確保や、育児や介護などによる離職の防止、交通費の削減などの効果が期待できます。
近年、政府による働き方改革の推進もあり徐々に在宅勤務を取り入れる企業が増えてきました。
そして、現在猛威を振るっている新型感染症への対策や災害対策としても在宅勤務は有効で、従業員の安全を確保しつつ生産性を維持することが可能になります。
このような状況から、今まで在宅勤務の導入に着手できていなかった企業も、導入に向けて早急に取り組まざるを得ない状況になってきています。
このように、在宅勤務はオフィスではなく自宅で仕事をする働き方で、働き方改革の推進や災害対策の手段として非常に注目されています。
(1)テレワークとの違い
テレワークは、リモートワークとも呼ばれ、インターネット技術等を活用することで場所や時間にとらわれずに柔軟に働く方法を指します。
テレワークの中には、モバイル勤務・施設利用型勤務・在宅勤務の3つの種類があります。
つまり、テレワークという大きな働き方の総称の中のひとつの働き方として在宅勤務が存在するのです。
ちなみにモバイル勤務とは、営業などの職種がICT(情報通信技術)を使うことで移動中や営業先などのオフィス以外の場所でも効率的に仕事を行うことを指します。
また、施設利用型勤務とは、通勤負担の軽減や郊外エリアとの地域連携などを目的として、サテライトオフィスを利用して仕事を行うことです。
令和元年5月時点で総務省が発表した通信利用動向調査(※)では、企業のテレワークの導入状況は19.1%で、導入予定が7.2%でした。
※参考URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/190531_1.pdf
この数字はニューノーマル(新しい生活様式)で今後加速度的に高くなることが予想されます。
このように、テレワークはインターネットを活用した場所や時間にとらわれない働き方の総称で、その中のひとつの働き方に在宅勤務があります。
2.在宅勤務の導入時に想定される4つのデメリット
次に、在宅勤務の導入時に想定されるデメリットを以下の4点に分けて紹介します。
- 業務上のコミュニケーションが取りづらい
- 正当な評価をしづらい
- 勤怠管理をしづらい
- 情報漏えいのリスクがある
順番に説明します。
デメリット1.業務上のコミュニケーションが取りづらい
在宅勤務の導入時に想定されるデメリットの1つ目に、業務上のコミュニケーションが取りづらいことが挙げられます。
在宅勤務の場合、オフィス勤務と比べて同僚と顔を合わせる機会が圧倒的に少なくなるため、どうしてもコミュニケーションが不足してしまいます。
メール等のやり取りで必要最適限な伝達事項は伝わったとしても、顔を合わせて表情や雰囲気や見ることにより感じ取れるモチベーションの上がり下がりや喜怒哀楽の感情などを察知しづらくなるのです。
コミュニケーションが不足すると、業務が円滑に進みにくくなるほか、会社への帰属意識が低くなったり疎外感を感じることにもなりかねません。
このように、在宅勤務を始めると、業務上のコミュニケーションが取りづらくなるという難点があります。
対策法については、方法1.コミュニケーションツールを利用するを参照してください。
デメリット2.正当な評価をしづらい
在宅勤務の導入時に想定されるデメリットの2つ目に、正当な評価をしづらいことが挙げれます。
在宅勤務の場合、オフィス勤務と比べて部下の仕事ぶりを直接見ることができないため、日頃の勤務態度や目標に向けた努力の過程が把握しづらくなるのです。
通常日本企業では結果とプロセスの両面から評価することが多いですが、在宅勤務の場合には結果は分かってもプロセスを把握することは困難になり、結果のみを重視した評価になりがちになります。
このように、在宅勤務を始めると、正当な評価をしづらくなるという難点があります。
対策法については、方法2.評価方法を明確にすることで公平性を担保するを参照してください。
デメリット3.勤怠管理をしづらい
在宅勤務の導入時に想定されるデメリットの3つ目に、勤怠管理をしづらいことが挙げられます。
在宅勤務は従業員にとって柔軟な働き方ができることがメリットである反面、仕事とプライベートの線引きがあいまいになったり、決められた時間きちんと仕事をこなしているのか把握しづらくなるため、勤怠管理は難しくなるのです。
在宅勤務になると上司の目が行き届かずさぼる社員が増えると思われがちですが、逆に結果が出るまで仕事を辞められず超過勤務になる社員も多くいます。
このように、在宅勤務を始めると、勤怠管理をしづらくなるという難点があります。
対策法については、方法3.勤怠管理を徹底するを参照してください。
デメリット4.情報漏えいのリスクがある
在宅勤務の導入時に想定されるデメリットの4つ目に、情報漏えいのリスクがあることが挙げられます。
在宅勤務は今までオフィスに集約されていたデータを自宅に持ち帰ることになるため、当然のことながら情報漏えいのリスクが高まります。
想定されるケースは、在宅勤務で利用するパソコンやネットワークが外部から攻撃されたり、自宅のプリンタから印刷した社内データを失くしたり、社内データの入ったパソコンやUSBメモリが紛失・盗難に合うなどです。
昨今のコンプライアンス遵守の風潮から、万一企業が顧客や取引先のデータを流出させてしまった場合には経営の根幹を揺るがす問題にも発展しかねないため、十分な注意が必要です。
このように、在宅勤務を始めることで情報漏えいのリスクが高まるという難点があります。
対策法については、方法4.セキュリティ強度を高めるを参照してください。
3.在宅勤務のデメリットを克服する4つの方法
最後に、在宅勤務のデメリットを克服する方法を以下の4つの観点で紹介します。
- コミュニケーションツールを利用する
- 評価方法を明確にすることで公平性を担保する
- 勤怠管理を徹底する
- セキュリティ強度を高める
順番に説明します。
方法1.コミュニケーションツールを利用する
在宅勤務のデメリットを克服する方法の1つ目は、コミュニケーションツールを利用することです。
在宅勤務を始めると、同僚と直接顔を合わせる機会は確実に減りますが、最近のコミュニケーションツールをうまく利用すれば直接会うのと遜色ないレベルのコミュニケーションを図ることができます。
具体的にはビジネスチャットツールやWeb会議システムを利用することがおすすめです。
ビジネスチャットツールは、SNSのように気軽かつリアルタイムにやり取りができ、タスク管理などといった業務サポート機能も持つツールで、代表的なツールとしては、Slack・Chatwork・Workplace by Faceboookなどが挙げられます。
Web会議システムは、特別な機材なしでインターネットを介して映像・音声・資料共有・チャットを行うことができるツールで、代表的なツールには、Zoom・Microsoft Teams・FreshVoiceなどが挙げられます。
いずれのツールも比較的安価に導入することが可能ですので、うまく活用して密なコミュニケーションを実現しましょう。
また、導入するツールが決まれば、マニュアルの整備や操作研修を行い、従業員が自宅から一人でも利用できる準備を整えておくことが大切です。
このように、コミュニケーションツールをうまく活用することにより、在宅勤務でありながらも職場のコミュニケーションを活性化することが可能です。
方法2.評価方法を明確にすることで公平性を担保する
在宅勤務のデメリットを克服する方法の2つ目は、評価方法を明確にして公平性を担保することです。
在宅勤務によって部下の働きぶりを直接見る機会が減るからこそ、あらかじめ一定期間の目標や評価の方法を明確にしておくことが大事になります。
特に在宅勤務とオフィス勤務の社員が混在する場合には、在宅勤務の社員に不平等が生まれないためにもあらかじめ評価方法を意識統一しておくことで公平性を担保しましょう。
また、部下の普段の仕事ぶりを把握するために日報を提出させたり、電話やメールなどで定期的なフォローを行うことも大切です。
在宅勤務者が孤独感や疎外感を感じないよう、組織の一員であり必要な人材であることを意識させることも上司の役目です。
このため、管理者が在宅勤務者を適切に評価できるよう教育することも重要になってきます。
このように、あらかじめ在宅勤務に合わせた評価方法を明確化し、管理者に評価方法を教育しておくことで公平性を担保することができます。
方法3.勤怠管理を徹底する
在宅勤務のデメリットを克服する方法の3つ目は、勤怠管理を徹底することです。
勤怠管理を徹底すると言っても、常時カメラをつけて従業員を監視するような方法では息が詰まって仕事のクオリティが下がってしまいます。
その一方で、勤怠情報を従業員の申告に任せっぱなしにすると不正や怠慢につながる可能性もあります。
このため、まずは在宅勤務を行う従業員に対して、在宅勤務場所は自宅でありながらも仕事をする場であることを認識させ、仕事に集中できる環境の整備や家族への理解を求めることが大切です。
その上で、フレックスや業務の中抜け・中断にも柔軟に対応できる勤怠管理システムを導入して従業員に勤怠情報を入力させ、作業状況を監視できるツール(作業中のパソコンのスクリーンショットを撮るツールやアプリの時間を管理するツールなど)などと突き合わせて入力内容の妥当性を確認するのが良いでしょう。
このように、在宅勤務における勤怠について従業員に意識付けした上で、在宅勤務にも対応した管理システムで管理するのがおすすめです。
方法4.セキュリティ強度を高める
在宅勤務のデメリットを克服する方法の4つ目は、セキュリティ強度を高めることです。
現状、安全に在宅勤務を行うための仕組みが多くのIT企業から提案されており、パソコン上のデータを暗号化したり、VDI(仮想デスクトップ)化してパソコン上にデータを保存しない仕組みを構築することにより、万一のパソコン紛失・盗難時にもデータ流出を防ぐことができます。
また、社内ネットワークと接続する際はVPN(バーチャル プライベート ネットワーク)を利用することで通信を暗号化することが可能です。
これらのツール面のセキュリティ対策に加えて運用上のルールを徹底し、社員のセキュリティへの意識を高めることも大切です。
例えばシステムログイン時のパスワードは定期的な変更を義務付けたり、自宅でのプリンタへの出力を禁止にします。
このような、在宅勤務に合わせたセキュリティポリシーを策定しなおした上で従業員へ十分な教育を徹底する必要があります。
このように、在宅勤務に必要なセキュリティ対策をツール面と運用面の両方で講じることで、セキュリティ強度を高めることが可能です。
まとめ
この記事では、在宅勤務の概要や在宅勤務の導入時に想定される4つのデメリット、デメリットを克服する4つの方法について紹介しました。
企業が在宅勤務を導入する際にはいくつかのデメリットが想定されるため、それらのデメリットを把握してあらかじめ対策を講じておくことが在宅勤務をスムーズに導入させるためのポイントになります。
ぜひこの記事を読んで在宅勤務の導入時に想定されるデメリットについて正しく理解し対策を施すことで、スムーズに在宅勤務を導入して自社の生産性を向上させてください!