「周囲の経営者からマーケティングオートメーションという言葉を聞いたが、実際どんなことができるんだろう?」
「集客のためのツールなのはわかるが、具体的にはどんなメリットがあるんだろう」

実はマーケティングオートメーション(MA)とは、営業分野の業務効率化を図れる集客ツールの役割だけでなく、会社全体の顧客対応のクオリティをあげることもできるんです!

この記事ではマーケティングオートメーション(MA)とは何か、導入するメリットデメリットおすすめのツールまでを徹底解説。

この記事を読み終わる頃には、自社でもツール導入を初めて販促しているビジョンがはっきりと見えるはずですよ!

1.マーケティングオートメーション(MA)とは

まずはマーケティングオートメーション(MA)とはなんなのかを知っておきましょう。

マーケティングオートメーション(Marketing Automation)は簡単に言うと集客の自動化ツールです。

集客部分と顧客の行動によりどのような営業方法が適切かの分析をオートメーション化することができます。

  1. 見込み客の情報の管理
  2. 見込み客の育成
  3. 最適な営業方法の分析
  4. 営業パーソンへの情報引き渡し

以下の文章ではマーケティングオートメーションをMAと呼称しています。

それでは早速MAの各工程でどのようなことが行われているのかを見ていきましょう。

(1)見込み客の情報の管理

まずMAは見込み客の情報を一元管理することができます。

見込み客とは自社の商品やサービスを利用・購入する対象になる人で、将来的に顧客になる可能性がある層のこと。

例としてイベントやセミナー、メルマガなどで収集した見込み客の情報をMAに取り込み、リストを作成することができます。

個人情報だけでなく、どのセミナーに参加したか、そのあとにどのようなアクションを取ったのかなど全て管理できるのです。

従来は営業担当が個別で管理をしていた情報を一元化することで、より個人情報を管理しやすくなります。

個別で情報を管理していると、せっかくの見込み客の情報を活かしきれないことが多いですがMAを使うことで一括で管理ができるので情報の取りこぼしも少なくなるでしょう。

(2)見込み客の育成

次にMAは見込み客の育成も自動で行います。

見込み客の情報を取り込んだら、リストを元にそれぞれの人や企業が何に興味があるのか、どんな情報を必要としているのかを自動で分析することが可能。

これをMA界隈ではスコアリングと呼び、見込み客がこの後に自社商品やサービスを利用する確率をシステム的に分析、採点して可視化するのです。

MAでできる代表的な見込み客の育成に使用されるステップは下記のようなものがあります。

自動メール配信機能 顧客が決められた行動を取った時にメールを配信する。
例)商品購入時のお礼メール
Push通知機能 ユーザーのスマートフォンに通知を送る
例)アプリの更新情報やキャンペーンのお知らせ
Web接客機能 顧客の質問にチャットで回答する
例)ECサイトで不明点をAIで回答するチャット機能など
広告ツールとの連携 顧客のWebアクセスやセミナーへの参加情報をもとにターゲットを絞って広告を配信する

自動的にこのようなアクションを起こし、さらにこの顧客のリアクションを分析してスコアリング。

そしてそのスコアをもとに、顧客にメルマガ送信をしたり招待状を送ったりすることで見込み客のサービスや商品への関心を高めます。

そしてそのメルマガや招待状への反応を情報源としてさらに分析を重ね、見込み客を顧客に変えるような営業方法を分析していくのです。

(3)最適な営業方法の分析

次にMAは最適な営業方法の分析を行います。

見込み客の育成のステップで行ってスコアリングした結果を元に、どのような営業方法を取るのかを分析します。

さらにスコアリングの結果から最優先で営業しなければいけない見込み客を選別するので、獲得率の高い効率的な営業を行えるようになるのです。

従来の営業方法では営業担当者の経験則や勘で優先営業先を決めていましたので、ある意味再現性が低く属人性が高いのが問題でした。

しかしMAを導入することで見込み客の分析・スコアリング・そして優先的に営業する顧客の選別などを自動的に行えるため、再現性の高い効率的な営業を行うことができます。

(4)営業パーソンへの情報引き渡し

MAは最終的に最適な営業方法の分析・見込み客の優先度を選別して営業パーソンへ情報を引き渡します。

ここからは人力に頼ることになりますが、属人化していた顧客の選別などが一元化されるので新人や経験の浅い営業担当でも比較的効率よく契約を取ることができるようになるでしょう。

分析された結果をもとに営業をかけることができるので、自分で分析を行って顧客情報を管理するよりずっと効率的ですよね。

営業担当の負担も大いに軽減することができ、コストや心理的なハードルを下げることにもつながるでしょう。

2.マーケティングオートメーション(MA)を導入する3つのメリット

次にMAを導入する3つのメリットを説明します。

  1. マーケティング部門の業務効率化
  2. マーケティングのクオリティの向上
  3. 人材を1名雇うより低コスト

MAを導入することで受け取れるメリットとデメリットを比較してから導入を決めましょう。

(1)マーケティング部門の業務効率化

MAを導入する1つ目のメリットは、マーケティング部門の業務効率化を図れることです。

従来営業担当が個人で行っていた下記のような業務をMAが自動で行ってくれるので、担当は営業活動のみに専念することができます。

  • 顧客情報の管理や入力作業
  • リストを精査して見込み顧客から優先度の高い企業や個人を選定する
  • 見込み客に対してどのようなアプローチが効果的なのかを考案

この3つの作業を省略できれば、マーケティング部門の作業時間を短縮して業務効率を上げることが可能です。

さらに営業活動や見込み顧客の獲得に専念することができるので、より精度の高い営業活動を行うことができるでしょう。

MAを導入することで、自社営業部門の作業効率を格段に向上させることができるのです。

(2)マーケティングのクオリティ向上

MAを導入する2つ目のメリットはマーケティングのクオリティ向上です。

具体的には以下の3つの場面でクオリティを上げられると言えます。

  • 見込み客の取りこぼしを防げる
  • 能力差による獲得率の格差を少なくできる
  • 適切なタイミングで見込み客に必要な情報を届けられる

それぞれの場面について詳しく解説しますので自社の営業風景を思い出しながら読み進めてみてください。

#1:見込み客の取りこぼしを防げる

MAを導入すれば見込み客の取りこぼしを防ぎ、結果マーケティングのクオリティの向上につながります。

営業担当での見込み客のリスト管理では、全ての見込み客に対してのアプローチが難しく取りこぼしも多かったでしょう。

しかしMAを導入すれば全てのリストのスコアリングに合わせて適切な見込み客の育成を行ってくれるので、満遍なくリスト上の見込み客にアプローチができます。

今まで人力で行なっていたことを自動化すれば、見込み客を他社に奪われるようなことも少なくなるでしょう。

#2:能力差による獲得率の格差を少なくできる

MAを導入することで能力差による獲得率の格差を少なくできます。

経験などで判断していた営業アプローチをデータに基づいたものにすることで、営業部門の人員の能力による契約受注率の格差を少なくできます。

例えばエリア担当が▲▲さんだった時はうまくいっていたのに、●●さんに変わった途端に受注率が落ちた、ということを防げるということです。

もちろん最終の営業活動は個人になりますが、ある程度アプローチ方法や優先度を明示してくれるので経験が浅い営業でも獲得率をある程度担保できるでしょう。

#3:適切なタイミングで見込み客に必要な情報を届けられる

MAを導入することで適切なタイミングで見込み客に必要な情報を届けられます。

見込み客がどの程度サービスや商品に興味があるか、検討段階の判断を見誤ってしまうと不必要な情報やタイミングで顧客にアプローチをし、関係が悪くなる可能性があります。

しかしMAでは見込み客の行動分析を行い適切な営業方法やタイミングを提示してくれるので、判断ミスによる関係の悪化を防ぐことが可能です。

そればかりか必要な情報がベストタイミングで届くので、契約受注率がアップするでしょう。

(3)人材を1名雇うより低コスト

MAを導入するメリットは人材を1名雇うより低コストであるということです。

MAの導入コストは初期費用平均10万円程度と月額平均4〜5万円が相場なので、営業アシスタントやコンサルを雇用するよりもはるかに安くつきます。

もちろん利用するサービス内容、オプション等によっても金額は変わりますが、概ね人件費よりは安価です。

新人を雇って自社商品やサービス内容を教育し、毎月の給与を支払うよりもはるかに安く営業業務の効率を吐かれるのがMAを導入するメリットと言えるでしょう。

3.マーケティングオートメーション(MA)を導入する3つのデメリット

MAを導入するにはもちろんデメリットもあります。

  1. 全てのマーケティング業務を自動化することはできない
  2. 営業が顧客管理を適切に運用できない可能性がある
  3. 自社でツールをうまく運用できないこともある

営業業務の効率化に有用なMAですが、何もかもお任せという訳にはいきません。

初期費用や月額費用だけを無駄に支払うのは経費の無駄。

まずは先ほど紹介したメリットとデメリットを比較し、検討材料としてみてください。

(1)全てのマーケティング業務を自動化することはできない

MAを導入するデメリットは、全てのマーケティング業務を自動化することはできないことです。

営業が今まで行っていたリスト管理や分析については自動化できますが、その分析についてのシナリオは自社で作成する必要があります。

MAはあくまで設定したシナリオに従って登録されている顧客に自動でアクションを起こすもの。

例えば「このスコア以上の顧客がアプリを開いたタイミングでプッシュ通知を送る」、このシナリオは人間が決めます。

また見込み客リストを獲得するための活動は自動化できません。

シナリオ設定に逆に時間がかかってしまい、結果工程が増えて効率が悪くなった、ということにならないように注意が必要です。

(2)営業が顧客管理を適切に運用できない可能性がある

MAを導入するデメリットは営業が顧客管理を適切に運用できない可能性がある事です。

ツールにシナリオを入力したから、後は適当に営業部に引き渡すというわけにはいきません。

まずツールを運用する担当を決め、その担当から営業部門にツールの利用方法や活用方法のディレクションが必要です。

例えば営業部がツールの使い方がわからず、従来通りリストを個人で管理し始めると、MAに顧客へのアプローチの情報が入らないので適切なスコアリングができません。

導入前に営業部の意見を聞いておく、導入後はマニュアルを作成して現場の業務が混乱しない施策が必要なのです。

(3)自社でツールをうまく運用できないこともある

MAを導入するデメリットは、自社でツールをうまく運用できないこともあることです。

営業担当以外にも事務、カスタマーセンター、IT部門などMAの運用に関わる部門は様々あるはず。

これらの連携が取れていないと、結果自社でツールをうまく運用できなくなってしまいます。

例えばカスタマーセンターが見込客からの問い合わせを受けたがそれを営業に連携していない、ツールのシナリオに変更があった旨が共有されておらず営業活動に支障が生じるなどの事態が起こりえるでしょう。

MAを導入するのであれば関連部署がどこか、そして連携窓口を決めるなども考慮してからにしましょう。

4.マーケティングオートメーション(MA)を導入する際の3つの注意点

最後にMAを導入する際の3つの注意点をお伝えしておきましょう。

  1. 詳細にマーケティング設計をしておく
  2. スコアリングの基準を定めるのが難しい
  3. 自社にあったツールの選定を行う

しっかりとリスクを把握してから導入への道筋を立てておけば、後から運用できなくて無駄にするような事態を避けられます。

(1)詳細にマーケティング設計をしておく

MAを導入する際の1つ目の注意点は詳細にマーケティング設計をしておくことです。

  • どのような顧客に
  • どのようなタイミングで
  • どのようなアクションを起こす

このような見込み客の育成のシナリオを考えるのは、人力によるものになります。

そのため自社の営業部門や関連部署で会議を行って、営業担当が取得しているノウハウをシナリオ化してMAに入力する必要があるのです。

スコアリングの基準を決めるのも難しいので、必要であれば専門家を呼ぶなどして協力してもらいましょう。

最初にマーケティング設計を詳細にしておくほど、後から業務効率を上げることができます。

事前段階の準備には時間をかけるようにしましょう。

(2)ツール運用者・担当者を決めておく

MAを導入する際の2つ目の注意点は、ツール運用者や担当者を決めておくことです。

確かに営業部門の業務を自動化できるのですが、ツールの管理やシナリオの随時の変更、検証などは人間が行う必要があります。

MAを導入してしばらくの間は、シナリオが適正なのかなどは分析と改善を繰り返して精度を上げるのがツールを使いこなすコツです。

営業が片手間で適当に入力や分析を行っているだけでは不十分なので、最低でも1人は担当者を雇用するか専任者を用意しておきましょう。

(3)自社にあったツールの選定を行う

MAを導入する際の3つ目の注意点は、自社にあったツールの選定を行うことです。

機能の内容も千差万別で、目的に合っていないツールは使いこなせなかったり、使用を中止して再度シナリオの再作成をする羽目になる可能性があります。

例えばすでに見込み客の情報は潤沢にあるのであれば見込み客の育成に長けたツールを選ぶ、見込み客が少ないのであればメルマガ配信など見込み客を増やす機能も豊富なツールを選ぶべきです。

まずは自社がツールを導入する目的を明確にし、自社商品やサービスの販売促進には何が必要なのかを補ってくれるツールを選びましょう。

5.おすすめのマーケティングオートメーション(MA)ツール3選

最後におすすめのMAツールを3つご紹介します。

  1. セールスフォース
  2. Marketo(マルケト)
  3. HubSpot(ハブスポット)

それぞれの特徴や長所を解説していくので、自社の状況にあったツール選定の参考にしてください。

(1)セールスフォース

1つ目のおすすめMAツールはセールスフォースです。

セールスフォースはクラウド型の営業支援ツールで、中小企業の新規顧客開拓からマーケティング、カスタマーサービスまで手広い範囲をカバーしてくれます。

SEVEN&i HOLDINGSやBIZREACHなどの大手から中小企業まで15万社以上の企業が利用しているMAツール。

セールスフォースが特に優れているのは以下の3点です。

  • 顧客情報のクラウド運用で営業支援ができる
  • カスタマーサポートの自動化
  • カスタマイズ性が高く必要機能だけ利用できる

もちろん顧客管理や営業の活動報告をクラウドで行うことで、担当の動きや顧客への対応状況・進捗を管理することも可能。

カスタマイズが高いツールなので、必要な機能のみを選んで導入することで運用の煩雑さを回避することもできます。

「セールスフォースは何ができる?特徴・おすすめ連携ツール・導入メリット解説」

(2)Marketo(マルケト)

2つ目のおすすめMAツールはMarketo(マルケト)です。

マルケトは顧客の属性・行動・頻度を分析して顧客のニーズを理解して、パーソナライズした営業方法を提案できるツール。

マルケトが特に優れているのは以下の3つの点です。

  • 顧客1人1人に合った対応分析ができる
  • メール機能
  • 顧客の属性を状況に応じてリアルタイム反映

顧客それぞれに合ったメールを配信したり、適切な情報を届けるように設計されています。

また見込み客の興味の対象が移ったり、商品やサービスに対してのリアクションの変化をデータ反映させることで常に顧客のスコアリングを更新して最適な営業方法を提案できるのです。

マルケトはオープンリソースなので、自社のシステムやデータとの連携が簡易で運用のしやすさにも定評があります。

(3)HubSpot(ハブスポット)

3つ目のおすすめMAツールはHubSpot(ハブスポット)です。

HubSpot(ハブスポット)はセールスフォースと同じくカスタマーサービスに優れたツールですが、マーケティングセールス分野においても高評価を得ているツール。

HubSpot(ハブスポット)が特に優れているのは以下の3つです。

  • トラフィックを拡大する機能
  • 見込み客の開拓
  • パーソナライズされたメール送信機能

まだ見込み客が少なくリストが十分でない場合に利用できる、ブログ作成ツールやSNSを運用するツールが含まれているので自社認知の向上にも利用できます。

また見込み客のWebサイトの訪問履歴やEメールに対するアクションを解析し、1人1人に合わせたメール内容を送信することも可能。

従来の型通りのメールマガジン的なものではなく、まるで営業担当と会話をしているような内容のメールが送れるのも魅力です。

HubSpot(ハブスポット)の魅力はまだまだあり、こちらの記事でさらに詳しく紹介しているので参考にしてくださいね。

まとめ

営業効率化を促進するMAツールの概要、そして導入のメリットやデメリットを紹介しました。

MAを導入することで営業部門の効率化、そして見込み客に対して適切な営業活動を行うことで自社業績のアップが見込めます。

この記事で紹介した注意点やデメリットもよく検討し、目的を明確にした上で準備をしてから導入することでMAツールの効果を最大限にすることが可能です。

営業活動を自動化して新規顧客の開拓にも繋げられるMA、ぜひ導入して販促に役立ててくださいね!

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