「リモートワークとテレワークの違いって何?」
「リモートワークとテレワークのどちらを導入すればいいの?」

コロナウイルスの影響で、オフィス勤務からテレワークに切り替えを検討している企業も多いでしょう。

メディアではよく“テレワーク”という言葉が用いられますが、似た言葉に“リモートワーク”があります。

リモートワークとテレワークは同じオフィス以外の勤務を意味していますが、実は使われ方に違いがあるのです!

本記事では、リモートワークとテレワークの違い、使われ方について紹介します。

最後にはリモートワークやテレワークがなぜ注目を集めているのかについても触れるので、この記事を読めばオフィス外勤務の重要性が理解できますよ!

1.リモートワークとは

リモートワークとは

リモートワークとは企業のオフィスに通勤せずに、オフィスから離れた場所で働く勤務スタイルのことです。

たとえば、ITエンジニアやWebデザイナーなどオフィスで働く必要のない業種、経理部や人事部などのパソコン上で作業が成立する業務でリモートワークを導入することができます。

リモートワーク導入のメリットとデメリットを以下の表にまとめました。

メリット デメリット
  • 通勤時間を有効活用できる
  • 全国から優秀な人材を雇用できる
  • 仕事とプライベートの両立が可能になる
  • オフィス管理にかかる経費を削減できる
  • 従業員の業務管理が難しい
  • 従業員が孤独を感じ精神的な負担が大きくなる
  • パソコン配布やアプリ導入など準備に費用と時間がかかる
  • 仕事とプライベートのメリハリがなくなる

リモートワークの導入により生産性の向上が期待できますが、従業員の管理を徹底しなければ、作業の進捗が遅れる従業員も現れます。

したがって、リモートワーク導入を成功させるためには、いかに課題を改善できるかが重要です。

なお、リモートワークの詳細についてまとめているので、あわせてご覧ください。

2.テレワークとは

テレワークとは

テレワークとは通信技術を利用した時間や場所に囚われない働き方のことで、離れた場所を表すteleと働くを表すworkを組み合わせた造語です。

テレワークには大きく分けて以下の3つの働き方があります。

  1. 在宅勤務
  2. モバイルワーク
  3. サテライトオフィス勤務

順に説明するので、どのような形態があるのか把握しましょう。

(1)在宅勤務

在宅勤務

在宅勤務は、主にパソコンやコミュニケーションツールを使って、自宅を拠点に仕事を行います

他の従業員と顔を合わせることがないので、回りの目を気にすることなく自分の好きな時間に仕事を行えることが大きなメリットでしょう。

他にも通勤にかかるコストを削減できるなどのメリットもありますが、従業員と小まめに連絡を取り、作業の進捗を確認するなどの従業員の管理が求められます

なお、在宅勤務に関する制度に関してまとめているので、あわせてご覧ください。

(2)モバイルワーク

モバイルワーク

モバイルワークとは移動中や営業先でパソコンやスマホなどの端末を用いて働くスタイルです。

モバイルワークを導入すれば、必ずしもオフィスで仕事をする必要がなくなり、業種によっては直行直帰が可能になります。

オフィスで働く人が少なくなれば、オフィスの規模を縮小することもできるので、コストの削減にもつながるでしょう。

(3)サテライトオフィス勤務

サテライトオフィス勤務

サテライトオフィス勤務とは勤務先のオフィス以外のオフィススペースを活用した勤務スタイルです。

企業が本社以外にオフィススペースを用意することで、物理的に通勤が難しい遠く離れた人材を雇用することができます

たとえば、東京にある企業が北海道や九州地区にサテライトオフィスを設置することで、北海道や九州から離れることができない優秀な人材を囲い込むことができるでしょう。

サテライトオフィスを用意するためにコストは発生しますが、優秀な人材の雇用を優先する企業に向いているのではないでしょうか。

3.リモートワークとテレワークの違い

リモートワークとテレワークの違い

リモートワークとテレワークの違いについて説明します。

上記でリモートワークとテレワークについて紹介しましたが、両者の意味に大きな差はありません

しかし、テレワークを導入した企業に“職場意識改善助成金(テレワークコース)”という助成金が設けられていることから、普段の生活で目にする機会が多いのはテレワークでしょう。

政府や新聞やテレビなどのメディアが一般的に使うのはテレワークですが、実際に働き方の自由度が高いのはリモートワークです。

テレワークの働き方は、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務の3つに限定されていますが、リモートワークはオフィス以外の働き方であればどの形態でも該当します。

そのため、リモートワークの概念の中に、3つの働き方を意味するテレワークが含まれていると把握しておくとよいでしょう。

4.リモートワークとテレワークの使い方

リモートワークとテレワークの使い方

リモートワークとテレワークの使い方について紹介します。

  • なぜメディアではテレワークが使われるのか
  • どういったときにリモートワークとテレワークを使い分ければよいのか

リモートワークとテレワークの意味を理解すれば、上記のような疑問も解決します。

それぞれ順番に説明するので、リモートワークとテレワークの使い方を把握しましょう。

(1)リモートワークの使い方

リモートワークの使い方

リモートワークを使う場合は、オフィス以外の場所で働くことを強調するときに使うことが多いです。

たとえば、以下のように使います。

「本社でインフルエンザウイルスが蔓延しているため、来週から1週間リモートワークを実施します。本日から業務用のパソコンを配布するので、今週中には受け取るようにしてください」

このメッセージで重要なのは、「オフィスには出社しないで、それ以外の場所で仕事をしてください」ということです。

オフィス以外の勤務であれば働き方を問わないので、この場合はテレワークではなくリモートワークが適切でしょう。

リモートワークは働き方が特別に指定されているわけではなく、自由な働き方を意味しています。

自宅やカフェ、図書館など勤務場所を指定しない場合に使いましょう。

なお、リモートワークに役立つツールについてまとめているので、あわせてご覧ください。

(2)テレワークの使い方

テレワークの使い方

テレワークはリモートワークとは逆で、オフィス以外の勤務形態を指定したい場合に使うことが多いです。

今問題になっているコロナウイルスの影響により、以下のように使われることがあります。

「人との接触を8割削減するために、自宅でも作業ができる企業はテレワークを実施してください」

このテレワークの言葉には、「オフィス勤務ではなく自宅を勤務場所にしてください」という意味が含まれています。

オフィス以外であればどこでもよいというわけではなく、在宅勤務などテレワークに該当する3つの働き方を強調したい場合に、テレワークを使用しましょう。

リモートワークとテレワークのどちらを使えばよいか分からないときは、勤務形態を強調するかどうかで使い分けでみてはいかがでしょうか。

5.リモートワークやテレワークが注目されている3つの理由

リモートワークやテレワークが注目されている3つの理由

リモートワークやテレワークが世間から注目されている理由を紹介します。

今回紹介する理由は以下の3つです。

  1. 国や地域が推進している
  2. 成功事例が増えている
  3. オフィス勤務が不必要なビジネスが増えている

コロナウイルスによりテレワークに注目が集まっていますが、リモートワークも前々から業務改善に役立つと言われていました。

今後、導入を検討する企業が増えることが予想されるので、なぜリモートワークやテレワークが注目されているのか把握しておきましょう。

(1)国や地域が推進している

国や地域が推進している

リモートワークやテレワークを国や地域が主体になって推進している背景があります。

特にテレワークを広めるために助成金制度が設けられていることから、いかに国が推進しているかがわかりますね。

リモートワークやテレワークの推進の目的の1つが少子化対策です。

共働きで子育てする時間やお金がない家庭でも、安心して子育てをしながら収入を得ることが可能になります。

男性が在宅勤務をするようになれば、男性の育児参加も期待できるでしょう。

リモートワークやテレワークを導入すれば働き方改革の1つの例になるので、子育て世代の労働力不足の対策に有効ではないでしょうか。

(2)成功事例が増えている

成功事例が増えている

リモートワークやテレワークの導入で成功を収めている企業が増えているのも注目されている理由の1つです。

リモートワークやテレワークといえば、ITエンジニアやWebデザイナー、コンサルタントなど個人で活動することが多い職種のイメージが強いですが、実は製造業や食品業など多様な業種でも取り入れられています。

たとえば、以下のような導入事例があります。

  1. 日産自動車
  2. 資生堂
  3. 日本航空

順に紹介するので、導入時の参考にしてください。

#1:日産自動車

日産自動車

日産自動車2014年から在宅勤務を導入しました。

リモートワークやテレワークのデメリットの1つである従業員の孤独化対策のために、チャットやテレビ会議などのコミュニケーションツールや、他の従業員の様子を映すバーチャルオフィスを導入したのです。

在宅勤務の対象者は生産工程に関わらない全ての従業員で、1日8時間の勤務を月5日まで実施できるようにしました。

ただし、育児や介護をしている従業員は、所定内労働時間の5割まで在宅勤務できます。

在宅勤務をするには、事前にeラーニングを受講する必要があり、前日までに在宅勤務の業務計画を提出して、上司から承認を得なければなりません。

また、在宅勤務日は、上司に業務開始と終了の連絡をメールで行い、業務開始時にMicrosoft社のCommunicatorを立ち上げて他従業員に通知する必要があります。

従業員の業務の管理を徹底しており、自分で在宅勤務を選択できる日があるので、従業員も経営者も月のスケジュールを管理しやすいのではないでしょうか。

なお、在宅勤務のメリットについてまとめているので、あわせてご覧ください。

#2:資生堂

資生堂

資生堂2016年から現場で働く美容部員以外の従業員を対象に在宅勤務制度を設けました。

従来は育児や介護に携わる従業員が対象でしたが、部門長が承認すれば家庭事情に関係なく在宅勤務が可能です。

1週間に2日まで、月に8日を上限に取得でき、自動メークアプリのTeleBeauty(テレビューティー)を導入しているので、ノーメイクでオンライン会議に出席することができます。

そのため、育児で化粧をする余裕がない女性でも、スッピンを気にする必要がありません。

育児や介護で忙しい女性に優しいアプリを導入するなど、従業員の視点に立っているのがわかります。

リモートワークをしている従業員が働きやすい環境を整えるため、資金に余裕があればオリジナルアプリの開発を進めてもよいのではないでしょうか。

#3:日本航空

日本航空

日本航空では2014年に在宅勤務制度を導入しました。

試行錯誤を繰り返し、現在ではカフェや図書館など在宅勤務に囚われない働き方を推奨しています。

パイロットやキャビンアテンダント、エンジニアは対象外ですが、それ以外の従業員は週に1日リモートワークの取得が可能です。

また、前日までに勤務時間を申請しておけば、勤務開始時間を自由に選ぶことができます。

自宅外で勤務する場合は、紙資料の持ち運びを禁止したりのぞき見フィルターを利用したりとセキュリティ対策をしなければなりません。

厳しいルールが設けられていますが、実際に月に1~2回利用している利用者もいます。

日本航空は在宅勤務と併用できる制度がいくつか設けられているので、リモートワーク導入を検討している企業は制度作りの参考にしてみてください。

(3)オフィス勤務が不必要なビジネスが増えている

オフィス勤務が不必要なビジネスが増えている

オフィス勤務が不必要なビジネスの増加により、自然とリモートワークやテレワークを行う企業も増えています。

オフィスに出社して従業員全員が同じ空間で仕事をすることが一般的でしたが、ITの発展によってオフィス外での勤務が実現可能になりました。

ベンチャー企業や従業員の独立の増加により労働力が分散し、組織的な働き方から分業の体制が主流になっています。

リモートワークやテレワークの導入によって働き方の選択肢が広がるので、多様性のある働き方改革を目指している企業は導入を検討してみてください。

まとめ

リモートワークとテレワークの意味で大きな違いはありませんが、テレワークは働き方が指定されており、リモートワークの方が働き方の自由度が高いといえるでしょう。

コロナウイルスの影響により国からテレワークの導入が推奨されていますが、さまざまな業種で成功事例が多くビジネスの多様化が進んでいます。

リモートワークやテレワークが可能な業種の企業は、この機会にオフィス勤務以外の働き方を検討してみてはいかがでしょうか。

なお、リモートワークに向いている職種を紹介しているので、リモートワークに切り替えを検討している人は、あわせてご覧ください。

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