「企業がSaaSのシステムを導入する場合、どのような手順を踏めばいいの?」
「企業において、SaaSのシステム導入がもたらす効果にはどのようなものがある?」
このように悩んでいませんか?
実はSaaSの導入手順を正しく理解し活用することができれば、コストや手間をおさえながら有効にシステムを有効に活用できるのです!
今回は、SaaSの概要を紹介するとともに、企業がSaaSのシステムを導入する際の4つのステップやSaaSのシステムを導入することで期待できる5つの効果についても解説します。
この記事を読んでSaaSを正しく導入・活用することで、業務の効率化や収益アップにつなげてくださいね!
1.SaaSとは
SaaSは、Software as a Serviceを略した言葉で、ソフトウェアをユーザーに必要な機能と容量分だけ選択して利用できるようにしたサービスです。
SaaSの場合、サービス提供事業者が用意したハードウェア・ミドルウェア上でソフトウェアを稼働させ、ユーザーはパソコンやモバイル端末からインターネット経由で接続し、サービスを利用します。
ユーザーが個々のパソコンにソフトウェアをインストールしたり、稼働後にメンテナンスやバージョンアップを行う必要がないため、従来の買取のソフトウェアと違って管理の手間を省き手軽に利用することが可能です。
また、SaaSの料金体系は一般的にサブスクリプションと言われる月額(年額)固定のサービス料の形式であり、初期に突出した導入コストがかかることがなく、稼働後のライセンス数の増減やサービス中止も簡単に行える点もメリットです。
このように、導入の手軽さや導入コストの削減などの利点から、さまざまなシステムにおいてSaaSのサービス化がメニュー化され、導入実績も増えてきています。
SaaSの特徴やメリット・デメリットについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
2.企業がSaaSのシステムを導入する際の4つのステップ
次に、企業がSaaSのシステムを導入する際の手順を以下の4ステップに分けて説明します。
- 導入の目的を明確にする
- 必要な機能を洗い出す
- SaaSの機能と自社が必要な機能を比較する
- SLAや導入実績を確認する
順番に説明します。
ステップ1.導入の目的を明確にする
企業がSaaSのシステムを導入する際の最初のステップに、導入の目的を明確にすることが挙げられます。
SaaS導入の失敗例として、導入の目的を明確にしないまま何となく導入してしまったというケースがあります。
流行りに乗り、実績のあるSaaSシステムを選べばわが社にも適用できるだろうと安易に考える企業もありますが、当然のことながらシステムを導入するだけでは効果が上がりません。
SaaSの導入を成功させるために、まずは導入の目的を明確化し、その内容をシステムを利用する関係者全員で共有することが大切です。
そして、導入の目的を達するためにはどのような機能が必要で、その機能を持つのはどのシステムなのかという順番に検討を進めていかなくてはなりません。
このように、SaaSのシステムを導入する際は、まず導入の目的を明確にし、関係者で共有することが重要です。
ステップ2.必要な機能を洗い出す
企業がSaaSのシステムを導入する際の2つ目のステップに、必要な機能を洗い出すことが挙げられます。
必要な機能を洗い出す際、個人や部門単位の希望を優先させていては、意見がまとまらなかったり、個別最適ばかりが重視され本来の目的を達成できなくなってしまいます。
あくまでステップ1で決めた導入の目的を前提に、全体最適を図れる機能はどれかを関係者全体で協議の上、必要機能を洗い出すことが大切です。
例えば、オンラインストレージの場合の機能としては以下のものが考えられます。
- ストレージの量
- デバイスへの対応状況
- OS・ブラウザへの対応状況
- 検索のし易さ
- 他のアプリとの連携
- セキュリティ対策の度合い
- サポート体制
また、SaaSのサービスが全ての機能を網羅できているとは限らないため、必須の機能とできれば欲しい機能に分けるなど優先順位をつけておくのもおすすめです。
このように、導入の目的を達成するために必要となる機能を洗い出し、必ず必要となる項目から順番に優先順位をつけていきましょう。
ステップ3.SaaSの機能と自社が必要な機能を比較する
企業がSaaSのシステムを導入する際の3つ目のステップに、SaaSの機能と自社が必要な機能を比較することが挙げられます。
自社に必要な機能を洗い出せたら、SaaSのシステムの候補を数個選定し、SaaSの機能と自社の希望する機能を比較しましょう。
SaaSのサービスは、一般的にカスタマイズをせずそのままの機能を利用することを前提として、スピーディーで低コストの導入を実現しています。
このため、どのSaaSサービスでも自社に必要な機能を全て網羅できていない場合には、優先順位の低い機能はあきらめて運用変更などで対応することも必要です。
SaaSの機能は比較表や仕様表でも確認できますが、各社で文言の定義や指標が異なる場合があり、予想していた機能と実際の動きが違うといったこともあり得ます。
SaaSは体験版などのお試しをさせてもらえるケースが多くありますので、これらを利用して実際に運用してみるのが一番確実な方法です。
このように、SaaSのシステム候補を数個選定して、なるべく実際に体験して機能を比較してみましょう。
ステップ4.SLAや導入実績・セキュリティ対策を確認する
企業がSaaSのシステムを導入する際の4つ目のステップに、SLAや導入実績・セキュリティ対策を確認することが挙げられます。
ステップ3で自社に必要な機能を網羅したSaaSシステムを見つけることができたとしても、すぐに契約するのは危険です。
SaaSは一度契約してしまえば、メンテナンスやバージョンアップなどの作業をすべてサービス提供業者にお任せすることになります。
SLAを十分確認しないまま契約し、その後に障害発生時の復旧やメンテナンスにかかる時間・バージョンアップの頻度などに不満を感じても、ユーザー側は何も手出しができず、我慢して使い続けるか、他のシステムに乗り換えるしかありません。
また、全てのデータをサービス提供事業者に預けることになるため、セキュリティ対策が十分に施されていない場合は、情報漏えいにつながる危険性もあります。
SLAや導入実績・セキュリティ対策は、サービス提供業者のホームページや、サービス提供業者から個別に取り寄せる資料によって確認できます。
このように、候補となるSaaSサービスのSLAや導入実績・セキュリティ対策を確認して信頼に足るサービス提供業者かどうかを判断しておけば、サービス契約後にも安心して長く利用し続けることが可能です。
SLAとは、Service Level Agreementを略した言葉で、サービス品質保証制度とも言われます。
SLAにはサービス内容・サービスの範囲・提供時間・稼働率などといった情報が記載されており、契約時にサービス提供事業者から契約書とともに提示されます。
サービス提供事業者は契約締結後、このSLAに沿ったサービス内容を履行することになるため、ユーザーにとってSLAを確認することは非常に重要です。
機能的には満足するものであっても、例えば稼働率が低い場合には障害頻度が高かったりメンテナンスによるシステム停止時間が長い可能性が考えられるからです。
ちなみに、何等かの理由でSLAに記載されたサービス内容を履行できない場合、サービス提供事業者は契約金額の減額対応などのペナルティーを科せられるのが一般的です。
契約締結前にしっかりSLAを読み込んで、不明点はベンダーに確認するなどした上で、契約の可否を判断するようにしましょう。
サービス提供業者のセキュリティ対策が十分かどうかを確認する際、例えば以下のような項目についてどのように対処しているかを確認してみましょう。
- 暗号化対策
- デジタル証明書
- データセンターのバックアップ対策
- データセンターへの入室管理
- 機器へのアクセス管理
- ネットワークやサーバのキャパシティ管理
また、セキュリティに関する資格の有無を確認するのも有効です。
ISMS 認証やプライバシーマーク、ASP・SaaSの安全・信頼性に係る情報開示認定制度などを取得している場合は、セキュリティに関して第三者からのお墨付きがあるため特に安心と言えます。
3.企業がSaaSを導入することで期待できる5つの効果
最後に、企業がSaaSを導入することで期待できる効果を以下の5点に分けて説明します。
- コミュニケーションの活性化
- 顧客満足度の向上
- 経営のスピードアップ
- ペーパレスの促進
- 働き方改革への対応
順番に説明します。
効果1.コミュニケーションの活性化
企業がSaaSを導入することで期待できる効果の1つ目に、コミュニケーションの活性化が挙げられます。
SaaSのサービスとしてビジネスチャットや社内SNSが提供されており、これらのツールを利用すればメールよりもスピーディかつ簡単に社内関係者とコミュニケーションを図ることが可能です。
画像や動画・文書も共有しやすく、今までより広いメンバーとより深いコミュニケーションをとることができるため、新しいアイディアが生まれることも期待できます。
また、SaaSはインターネットに接続するだけで簡単に利用できるため、社外の取引先や委託先とのコミュニケーションにも活用することができます。
このように、企業がSaaSを導入することで、社内・社外の関係者とのより深いコミュニケーションが期待できます。
効果2.顧客満足度の向上
企業がSaaSを導入することで期待できる効果の2つ目に、顧客満足度の向上が挙げられます。
SaaSのサービスとしてCRMを利用した場合、営業先を訪問する直前に最新の顧客情報を確認したり、営業後の結果を即時に入力して関係者で共有することが可能です。
また、SaaSの受発注システムを利用した場合には、発注の依頼を受けたその場でシステム入力を行うことでミスや漏れを無くしたり、納期を早めることができます。
このように、企業がSaaSを導入することで、システムのリアルタイムな活用が可能となり、顧客満足度の向上が期待できます。
効果3.経営のスピードアップ
企業がSaaSを導入することで期待できる効果の3つ目に、経営のスピードアップが挙げられます。
SaaSの場合、手間がかからずスピーディにシステムを導入できます。
また、新規部門の設立や部門の統廃合などにも、サービス内容の追加・変更だけで柔軟に対応することが可能です。
さらに、経営方針の転換によりシステムが不要になった場合でも、減価償却期間を考慮することなくすぐにサービスを中止することができます。
このように、企業がSaaSを利用することで、経営方針の決定や転換にフレキシブルに対応することが期待できます。
効果4.ペーパレスの促進
企業がSaaSを導入することで期待できる効果の4つ目に、ペーパレスの促進が挙げられます。
SaaSのサービスを利用する際、データはサービス提供事業者側にあるストレージに保存されます。
そのため、インターネットに接続できるパソコンやモバイル端末を利用していつでもどこからでも情報を閲覧することが可能となり、紙に印刷する必要がなくなります。
また、会議の前に資料を準備する場合、直前に修正が入ったために差し替えが必要になるケースがありますが、会議資料をインターネット経由で直接参照するのであれば、常に最新情報を確認することができます。
このように、SaaSを導入すればペーパレスが促進され、コストの削減や環境改善への取り組みが期待できます。
効果5.働き方改革への対応
企業がSaaSを導入することで期待できる効果の5つ目に、働き方改革への対応が挙げられます。
SaaSのサービスはインターネットに接続できる端末であればいつでもどこからでも利用できるため、自宅や外出先からでも仕事が行うことが可能になります。
以前は、自宅や外出先からシステムに接続することはセキュリティ面の懸念が多く、許可していない企業も多くありました。
しかし、SaaSはインターネット接続を前提とするシステムであり、万全のセキュリティ対策も施されているため、自宅や外出先からでも比較的安心して利用することができます。
このため、SaaSの導入を機に働き方改革のへの対応を進める企業も多くなってきています。
まとめ
この記事では、SaaSの概要や企業がSaaSのシステムを導入する際の4つのステップ、SaaSのシステムを導入することで期待できる5つの効果について紹介しました。
SaaSの導入手順を正しく理解し活用すれば、コストや手間を抑えながら有効にシステムを利用できます。
ぜひこの記事を読んでSaaSを正しく導入・活用し、業務の効率化や収益アップにつなげてください!
SaaSの使い方について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。