「SaaSを利用すればどんなことができるの?」
「SaaSのシステムを導入する際に気を付けるべきポイントは何?」
このように悩んでいませんか?
実はSaaSの特徴を理解した上でポイントを押さえてSaaSのシステムを導入すれば、非常に有効な使い方ができるのです!
今回は、SaaSの概要を紹介するとともに、SaaSの特徴を活かした3つの便利な使い方やSaaSを活用した5つのシステム、導入時に気を付けるべき3つのポイントについても紹介します。
この記事を読んでSaaSの特徴を活かした使い方をすることで、業務の効率化や収益アップにつなげてくださいね!
1.SaaSとは
SaaS(Software as a Service)とは、インターネットを介して提供されるソフトウェアのサービスです。
ソフトウェアを稼働するために必要なサーバ・ストレージやミドルウェアは全てサービス提供事業者が準備します。
そのため、ユーザーはパソコンからインターネットに接続するだけで簡単にサービスを利用することができます。
また、運用後のメンテナンス作業やバージョンアップもサービス提供事業者が行うため、ユーザーは管理する手間がかかりません。
料金体系は、サブスクリプション(月額/年額)のサービス料として支払うのが一般的であり、買取に比べて初期導入コストがかかりません。
このように、ユーザーが自らソフトウェアを購入してインストールやメンテナンスを行う場合に比べて手間やコストが大幅に削減できるため、SaaSのシステムを導入する企業が非常に増えてきています。
SaaSについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
2.SaaSの特徴を活かした3つの便利な使い方
次に、SaaSの特徴を活かした便利な使い方を以下の3点紹介します。
- 複数のデバイスからの利用
- 複数人での同時利用
- 遠隔地からの利用
順番に説明します。
(1)複数のデバイスからの利用
SaaSの特徴を活かした便利な使い方の1つ目として、複数のデバイスからの利用が挙げられます。
SaaSはインターネットを介したサービスですので、基本的にインターネットに接続できるデバイスであればどれでも利用できます。
例えば以下の使い方が可能です。
- 会社ではデスクトップパソコンを利用し、外出先ではノートパソコンを利用する
- 複数のデバイスを使い分けて利用し、データを順次上書き保存することで違和感なく連続して作業を継続する
- スマホやタブレットから利用する
サービスによってはOSの種類やバージョンが限定されるものもありますが、サービス提供業者としてもなるべく多くのユーザーに使ってもらう必要があるため、なるべく多くのデバイスでの動作を保証する傾向にあります。
このように、SaaSは複数デバイスからの利用が可能となるため、利用の幅が広がります。
(2)複数人での同時利用
SaaSの特徴を活かした便利な使い方の2つ目として、複数人での同時利用が挙げられます。
SaaSの場合、データの保存先はサービス提供事業者側にあるストレージです。
複数人で同時に作業したとしても、データの保存先が1つであるため、常に最新のデータを共有することができます。
インストールするタイプのソフトウェアでも同時利用を謳っているものはありますが、ファイルを送信して編集して送り返してもらう方式ではタイムラグが発生するためSaaSほどの即時性は期待できません。
このように、SaaSでは複数人でリアルタイムにデータを更新しながら同時利用することが可能です。
(3)遠隔地からの利用
SaaSの特徴を活かした便利な使い方の3つ目として、遠隔地からの利用が挙げられます。
SaaSはインターネットさえつながればどこからでも利用できるので、会社にいなくても自宅のパソコンからでもシステムを利用できることになります。
SaaSを活用することで、働き方改革の一環としてリモートワークや在宅勤務を行うこともできるようになります。
以前は、社外からの利用はセキュリティ面の心配から実現できないという企業が多くありましたが、SaaSはそもそもが遠隔地からのアクセスを前提としているため、セキュリティ対策も万全を期しています。
このため、企業としても安心して遠隔地からのアクセスを許可しやすくなってきました。
また、スマホやタブレットで利用できる特徴とも合わせて、営業先で顧客の最新情報を確認したり、外出先からすぐにデータ入力を行い業務効率化につなげたりといった新しい活用の可能性も広がっています。
このように、SaaSはインターネット接続ができさえすれば遠隔地からも利用できるため、新たな活用の幅が広がります。
3.SaaSを活用した5つのシステム
上で述べたSaaSの便利な使い方を利用し、さまざまなシステムにSaaSが適用されてきています。
SaaSを活用したシステムの5つの具体例は以下の通りです。
システム | 概要 | 代表的なアプリケーション |
オフィスソフト | ドキュメント編集・表計算・メーラー・スライドショー作成などの事務系ツールをワンセットにしたソフト。SaaSの場合、常に最新バージョンが提供され、複数デバイスで同一アカウントを利用して利用できる。 | Microsoft office 365 G Suite Desknet’s NEO サイボウズOffice10 |
CRM | 顧客情報を管理するためのシステム。SaaSの場合、中小企業でも利用しやすく、営業先でも活用できる。 | Salesforce eセールスマネージャー Knowledge Suite |
ERP | 企業のヒト・モノ・カネの動きを管理することで経営を支援するシステム。SaaSの場合、経営に即したスピーディーな利用ができる。 | NetSuite SAP Business One Workday GLOVIA OM |
ビジネスチャット | 業務連絡やビジネス上のコミュニケーションを行うためのチャットツール。SaaSの場合、在宅勤務や外注先とのコミュニケーションにも活用できる。 | Chatwork slack LINEWORKS |
ストレージ | オンラインストレージサービス。SaaSの場合、手軽かつ安価にデータ容量を確保できる上に、ユーザー同士のデータ共有もできる。 | Fleekdrive Dropbox box |
このように、さまざまなシステムがSaaSの特徴を活かしてサービス化に取り組んでいます。
SaaSを活用したシステムやアプリケーションについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
4.SaaSを導入する際の3つのポイント
最後に、SaaSを導入する際に気を付けたいポイントを以下の3点紹介します。
- 自社の業務にマッチするか
- トータルコストが安くなるか
- SLAは十分なレベルか
順番に説明します。
ポイント1.自社の業務にマッチするか
SaaSを導入する際に気を付けたいポイントの1つ目に、自社の業務にマッチするかが挙げられます。
SaaSは短期間で手軽に入れられるのがメリットですが、その反面業務に合わせてカスタマイズをすることはできません。
基本的には、与えられたサービスをそのまま利用することが前提です。
(ただし、一部のサービスではマルチテナント方式という技術を利用することでSaaSでありながらカスタマイズを実現できているものもあります。)
このため、導入したいサービスが自社の業務にマッチするかどうかをあらかじめ確認することが非常に重要です。
多くの導入実績があるから自社でもうまく使えるだろうと安易に導入を決めてしまい、うまく使いこなせないという失敗例は多くあります。
まずは、システムを導入する目的を明確にし必要な機能を洗い出した上で、候補となるシステムが必要機能を網羅できるのか慎重に確認しましょう。
また、システム利用者にはカスタマイズができないことを周知し、時にはシステムに合わせて運用を変更してもらう必要があることを理解してもらうことも大切です。
このように、SaaS導入時には、自社の業務にマッチするシステムかどうかを見極めるとともに、現場にはカスタマイズができないことの理解を得ておくようにしましょう。
ポイント2.トータルコストが安くなるか
SaaSを導入する際に気を付けたいポイントの2つ目に、トータルコストが安くなるかが挙げられます。
SaaSを使用すればコストダウンできると言われることが多くありますが、実際に安くなるのは導入時のコストであり、安易にSaaSならば安いと決めつけるのは危険です。
SaaSは、上述の通り一般的にはサブスクリプション方式(月額制/年額制)という形で料金を支払いますので、導入時にソフトウェアを購入するような突出した費用が発生することはなく、導入時のコストとしては確実に安価です。
しかし、その後も一定額を支払い続ける必要があるため、買取のソフトを長く使用し続ける場合と比べるとある時点で累計費用は逆転します。
とはいえ、買取のソフトも利用しつづけるためには保守費用やバージョンアップにかかる費用が必要となりますし、加えてメンテナンスの人件費も必要です。
また、買取で一つのシステムを長く利用し続けることを想定する場合には、経営方針の変更などの都合により短期でシステムを変更しなければならなくなった際のリスクも考慮しておかなければなりません。
これらシステムを導入・運用するための条件やトータルコストを試算して、SaaSと買取ソフトのどちらにメリットがあるかを比較検討するようにしましょう。
ポイント3.SLAは十分なレベルか
SaaSを導入する際に気を付けたいポイントの3つ目に、SLAは十分なレベルかが挙げられます。
SLAとは、Service Level Agreementの略で、サービス品質保証制度とも言われ、サービス提供業者が作成するものです。
SLAは、サービス提供業者のホームページで公開されているものもあれば、契約締結前に個別に提示されるものもあります。
SLAにはサービス内容・サービスの範囲・提供時間・稼働率などの情報が記載されており、この内容を細かくチェックし、自社の運用に耐えうるものかを慎重に判断する必要があります。
SaaSはサービス提供業者に導入からメンテナンスまで全てを任せることができ、ユーザーとして手間がかからないことが魅力ですが、その一方でサービスの品質はサービス提供業者次第で、例え品質が悪かったとしてもユーザー側で改善のための手出しをできるものではありません。
そのため、契約後にきちんとサービスを提供してくれるかの判断基準となるのがSLAであり、SLAを十分確認せず安易に契約してしまい、後で後悔することになっても、ユーザー側にはサービスを中止する以外の手立てがないのです。
ちなみに、SLAの内容が高度であるほど高品質であり、サービス料も高額となる傾向にあります。
また、万一サービス提供事業者がSLAを達成できない場合には、通常利用料の減額などのペナルティが課せられるのが一般的です。
このように、SaaSの導入時には、SLAが十分なレベルかを細かく吟味するよう心がけましょう。
稼働率はメンテナンスや障害によるサービス停止時間を示す数値で、実際の運用に耐えうるかを確認するための重要な項目です。
例えばあるシステムにおいて、A社100%、B社99.9%、C社99.0%というように稼働率が示されていたとします。
稼働率が99.0%だった場合、稼働率は、( 全時間 ― 停止時間 ) / 全時間 で求められるため、1年間のうちの停止時間は87時間という計算になります。
99.0%と聞くとかなり高い稼働率のようにも聞こえますが、クリティカルなシステムの場合、1年の間に87時間も停止するようでは運用に耐えられないかもしれません。
逆に、1年間(8760時間)のうち停止時間を10時間以内に抑えたい場合には、(8760-10)/8760≒0.9989となるため、稼働率は99.89%以上のシステムを選ばなくてはなりません。
つまり、稼働率は小数点以下1位の数値の差で実際のサービス停止時間が大きく左右されるのです。
このように、稼働率に注目する場合は、小数点以下1位の数値まで注目し、具体的な停止時間を把握した上で妥当性を判断しましょう。
まとめ
この記事では、SaaSの概要やSaaSの特徴を活かした3つの便利な使い方、SaaSを活用した5つのシステム、導入時に気を付けるべき3つのポイントについて紹介しました。
SaaSの特徴を理解した上でポイントを押さえて導入すれば、非常に便利な使い方ができます。
ぜひこの記事を読んでSaaSの特徴を活かした使い方をすることで、業務の効率化や収益アップにつなげてください!