「会社の運営資金として補助金を活用したいが、どのような補助金が使えるのだろう?」
「補助金を使ってみたいけれど、どのような手順で使えるのか分からない」
中小企業の皆様の中にはこのようにお悩みの方も多いのではないでしょうか?
実は補助金は多くの種類が存在し、条件を満たすものを見つけられればさまざまなシーンで活用することができるのです!
今回は、補助金の概要や活用シーン、補助金を活用する際の4つの注意点、中小企業が活用できる補助金事例5選を紹介します!
この記事を読んで補助金を理解し活用することで、自社の経営戦略に補助金を有効に組み入れることができるでしょう。
1.補助金とは?
補助金とは、国や地方自治体が企業や民間団体・個人に対して貨幣の給付を行うことを言います。
国や地方自治体が目標とする施策を達成するため、目的にあった事業に取り組む企業・民間団体・個人に対して補助金を支払うことでサポートしようという取り組みです。
そのため、補助金にはそれぞれ目的や主旨が設定されており、その目的や主旨に即した事業を行っていることが補助金を受け取れる条件になります。
補助金を受け取りたいと思った場合には、事前に申請を行い審査を受けます。
審査に合格したら実際に事業を行い、事業の完了報告を行って無事に業務が履行された場合にはじめて補助金を受け取れるというのが一般的な流れです。
(補助金の種類によっては先払いや部分払いが適用される場合もあります。)
企業にとって、資金調達の手段としては日本政策金融公庫や金融機関からの借り入れが一般的ですが、補助金をうまく活用できれば経営に役立てることができます。
補助金は借入金と違って返す必要のないお金であり、収益と同じだけの効果があるからです。
補助金の種類によって、事業にかかる費用の全額をもらえる場合やその中の一部の費用をもらえるケースがあります。
(1)補助金と助成金の違い
補助金と似た制度で、助成金というものがあります。
助成金も補助金と同様に返す必要がなく、収益と同じだけの価値があります。
よく似ているために混同して使われがちですが、それぞれの特徴は下記の通りです。
ただし、必ずしもこの通りではなく補助金と言いながら助成金の特徴を持つものやその逆の場合もあります。
補助金 | 助成金 | |
時期 | 1年間を通して | 毎年4月に公募 |
主な管轄部署 | 経済産業省 | 厚生労働省 |
主な目的 | 中小企業振興 | 雇用促進 |
起業促進 | ||
金額 | 経費に対して一定割合 | 定額 |
支給条件 | 採択件数や上限金額が決められており審査で受給可否を判断 | 一定要件を満たせば受給できる |
助成金についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
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(2)補助金の活用シーン
補助金は、上述の通り国や地方自治体の施策に即した事業に取り組む企業を支援する形で支払われます。
具体的に補助金が活用できる代表的なシーンとしては以下の3つが挙げられます。
- 事業を開始する
- 新規事業を始める・新商品やサービスを開発する
- 法改正や規制緩和に対応する
このような場面では補助金を活用できる可能性があります。
補助金を使えるにも関わらず忘れて事業を開始してしまうことのないようにしなければなりません。
これらに該当する事業を予定している場合には事前に該当する補助金がないかを調査し、事業に着手する前に申請するように心がけましょう。
2.補助金を活用する上での4つの注意点
上述の通り、返す必要がなく収益と同じだけの効果がある非常にメリットの多い補助金ですが、活用にあたって注意してほしいことは以下の4点です。
- 申請期間は短い
- 補助金の支払い時期は事業終了後になる
- 期間内に事業を完了させなければならない
- 条件に適さない補助金は受け取れない
順番に説明します。
注意点1.申請期間は短い
補助金の申請期間は1カ月程度と短いものが多いため、募集自体を見落としたり提出資料の準備が間に合わないことがないよう注意が必要です。
次章で具体的な補助金を紹介しますが、その多くが毎年募集されているものです。
現時点でほとんどの案件で募集が完了していますが、来年度も同様の時期によく似た内容で募集される可能性が高いと言えます。
ただし、予算が通らず公募が見送られたり規模が縮小するケースもあります。
そのため、募集の案内が出た時期をチェックして1年後に備えておいたり、必要となる書類を確認して準備に時間がかかるようならあらかじめ用意を始めておくことが大切です。
注意点2.補助金の支払い時期は事業終了後になる
補助金の支払い時期は基本的には事業終了後になるため注意が必要です。
つまり、事業を実施するために物品やソフトを購入したり人員を投入する場合、一時的に経費を先払いする必要が出てくるのです。
補助金が返済の必要がない費用だからと言って全く予算の目途がないまま事業を進めてしまうとキャッシュフローに行き詰まる可能性があります。
当然のことながら費用の目途が立たないために計画していた事業を完了できない場合には補助金を受け取ることもできません。
補助金を申請する前に、補助金の受取が事業終了後になってもキャッシュフロー的に問題がないかを確認しましょう。
注意点3.期間内に事業を完了させなければならない
補助金を受け取るためには、期間内に事業を完了させなければならないという点にも注意が必要です。
補助金の多くは国や地方自治体が公募しているため、年度内に予算を使い切らなくてはなりません。
補助金の募集要項に記載されている期間内に事業を完了させることができなければ補助金を受け取る権利を失ってしまいます。
期日を遅れて事業を完了したとしても、その後補助金を受け取るということは基本的に難しいでしょう。
そのため、補助金の申請段階で事業を工期内に完了するスケジュールを立てられるかをきちんと確認する必要があります。
また、補助金の申請が通った後にもうっかりしていて事業の着手が遅れ工期が間に合わないといったトラブルが発生しないように十分注意しましょう。
注意点4.条件に適さない補助金は受け取れない
補助金を申請する際、条件に適さない補助金は受け取れないことに注意する必要があります。
補助金申請を通過したいがために申請内容を偽って書いてしまいたくなりますが、このような虚偽が発覚した場合には一度申請が通過しても後日取り消しになる場合があります。
通常事業が完了した際には完了報告書を提出する必要がありますので、申請時に虚偽をしても最後は見つかると思っていた方がよいでしょう。
また、虚偽はもちろんいけませんが、条件に適するかどうか判断に迷う場合もあります。
このような場合にはつい都合の良い方に解釈したくなりますが、後で取り消しになるリスクを避けるために必ず申請時に問い合わせをして条件に適しているかどうかの確認をとるようにしてください。
3.中小企業が活用できる補助金5選
中小企業が活用できる補助金として代表的なものを以下の5つ紹介します。
- 軽減税率対策補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- 事業継承補助金
- IT導入補助金
順番に説明します。
(1)軽減税率対策補助金
軽減税率対策補助金は、2019年10月からの消費税率10%への引き上げに合わせて実施される消費税軽減税率制度に対応するための補助金です。
複数税率対応レジの導入、受発注システムの改修、請求書管理システムの改修が必要となる事業者がそれぞれ補助金対象となります。
それぞれの補助金の上限および補助率は以下の通りです。
対象 | 上限 | 補助率 | 備考 |
複数税率対応レジの導入 | レジ1台あたり20万円 | 3/4 | 一部例外有り |
受発注システムの改修 | 対象システムや条件によって異なる | 3/4 | |
請求書管理システムの改修 | 1事業者あたり150万円 | 3/4 | 請求書発行用のプリンタ・パソコンは1/2 |
2019年9月30日までに導入や支払いが完了していることを条件に、12/16まで申請を受け付けます。(一部受付を完了しているものも有り)
このように、軽減税率対策補助金は2019年10月からの消費税軽減税率制度に対応するための補助金ですので、該当する経費は忘れずに申請するようにしましょう。
(2)小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営を見直し事業継続に向けて発展的に経営計画を作成することを支援し、販路開拓など必要となる経費の一部を補助します。
小規模事業者は、従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の事業者を指します。
本補助金は、日本商工会議所が公募しており、経営計画の作成には商工会や商工会議所の支援を受け、その計画に沿った取り組みに対して支援を受けることが可能です。
申請にあたっては、経営計画書や補助事業計画書を提出する必要があります。
これらの書類を審査して採択されるかが決定するため、審査基準や記入例を熟読の上丁寧に作成することが大切です。
上限 | 補助率 |
50万円(複数社での共同設備投資は上限500万円) | 2/3以内 |
2019年は、4月~6月が公募期間でした。
このように、小規模事業者持続化補助金は、日本商工会議所が事業継続に向けた経営計画の作成を支援し、その計画に沿った販路開拓などの施策をサポートしてくれる補助金です。
(3)ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、生産性向上のために革新的なサービスや試作品を開発したり生産プロセスの改善を行うために必要な経費を補助します。
対象となるのは中小企業および小規模事業者等で、認定支援機関のバックアップを受けた場合に設備投資などの費用が補助されます。
取り組む、生産性向上に資する革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援するものです。
2019年の募集では、クラウドファンディングを用いて一定以上の支援金額を集めた企業を加点したり、補助事業で開発した試作品をクラウドファンディングでテスト販売することを可能としました。
上限 | 補助率 |
1000万円 | 1/2 |
2019年は一次公募が2月中に、二次公募が5月中に応募が締め切られました。
このように、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が革新的なサービス・試作品の開発や生産プロセスの改善を行うことを支援する補助金です。
(4)事業継承補助金
事業継承補助金は、経営者の交代・事業再編や事業統合を伴う経営革新などを行う場合に経費の一部を補助するというものです。
対象となるのは後継者不在などの理由により事業継続が困難となることが予想される中小企業者などで、世代交代を通じて国内経済の活性化を図ることを目的としています。
補助金の条件は以下の通りです。
対象 | 上限 | 補助率 |
経営者交代 | 500万円 | 2/3または1/2 |
事業再編や事業統合 | 1,200万円 | 2/3または1/2 |
2019年は一次募集が5月に、二次募集が7月に応募が締め切られました。
このように、事業継承補助金は事業を引き継いだ経営者が事業継承後に新しいチャレンジをすることを応援する補助金です。
(5)IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が自社の課題解決のためにITツールを導入する際に、経費の一部を補助することで業務効率化や売上アップを支援します。
補助対象企業は中小企業や小規模事業者とされ、飲食・宿泊・卸/小売・運輸・医療・介護・保育などのサービス業、製造業・建設業など幅広い業種が対象です。
補助対象となるのはあらかじめIT導入支援事業者から登録があり認定されているITツールで、ホームページ上で公開されています。
上限 | 補助率 |
450万円 | 1/2以下 |
2019年度は一次公募が6月中に、二次公募が8月中に応募が締め切られました。
このように、IT導入補助金はIT化により自社の課題を解決し、業務効率化や売上アップをサポートすることを目的とした補助金です。
まとめ
この記事では、補助金の概要や活用シーン、補助金を活用する際の4つの注意点、中小企業が活用できる補助金事例5選を紹介しました。
補助金は、自社の条件に合ったものを見つけることができればさまざまなシーンに活用できます。
ぜひこの記事を読んで補助金をうまく活用し、自社の経営戦略にお役立てください!