「新型感染症への対策として自社でもテレワークを始めたいが、どのように導入すればよいの?」
「テレワークを導入する際に金銭面や技術面を支援してくれる仕組みはないの?」
このように悩んでいませんか?
実はテレワークをスムーズに始めるためにはいくつかのステップに従って導入作業を進める必要があり、さらに助成金やコンサル支援など知っておくと得をするポイントもあります!
今回は、テレワークの概要、テレワーク導入の7ステップを説明するのに加えて、テレワーク導入時に知っておきたい2つのポイントについても紹介します。
この記事を読んでテレワークの導入方法を正しく理解することができれば、スムーズな導入が行え、自社の生産性向上につなげることができますよ!
「テレワークにはどんなシステムがある?4つの方式や11のサービス」も併せてご覧ください。
1.テレワークとは
テレワークとは、情報通信技術を活用した時間や場所にとらわれない働き方のことを指します。
テレワークは、在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィスの3つに分けられ、それぞれ以下の通り仕事を行う場所が異なります。
種類 | 仕事を行う場所 |
---|---|
在宅勤務 | 自宅 |
モバイルワーク | 顧客先や移動中など |
サテライトオフィス | 勤務先以外のスポットオフィスやレンタルオフィスなど |
リモートワークには、感染症蔓延時・災害時の事業継続やワークライフバランスの向上、育児・介護による離職の防止などといったさまざまなメリットがあり、またリモートワークを取り入れていること自体が企業のイメージアップにもつながるため、多くの業種・職種において導入が検討されています。
働き方改革を推進したい政府の後押しもあり、実際の導入率も徐々に増えてきて、2019年5月時点の導入率(※)は、導入済み企業が19.1%、今後導入予定企業が7.2%です。
※参照:総務省 通信利用動向調査(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/190531_1.pdf)
猛威をふるっている新型感染症の影響で、今後この数値はさらに加速度的にアップしていくものと予想されます。
このように、テレワークは情報通信技術を利用した場所や時間にとらわれない働き方で、昨今企業への導入率が大幅に増えてきています。
テレワークの概要についてさらに詳しく知りたい方は参考にしてください。
2.テレワーク導入の7ステップ
次に、テレワークの導入方法を以下の7つのステップに分けて紹介します。
- 導入目的の明確化
- 導入体制の構築
- 導入範囲の決定
- ICT環境の整備
- テレワーク導入に伴う社内ルール作り
- 教育・研修の実施
- 導入および効果の測定
順番に説明します。
ステップ1.導入目的の明確化
テレワーク導入の1つ目のステップは、導入目的を明確化することです。
テレワークの導入は、企業にとって生産性の向上や災害時の事業継続などさまざまな効果が期待できます。
さまざまな効果が期待できるからこそ、その中でも自社が何を目的としてテレワークを導入するのかを決めておくことが重要です。
例えば、テレワークを行うことでオフィスの光熱費など大幅なコストカットに繋がり、従業員のライフスタイルを拡充できることを導入目的とする企業が多くあります。
テレワークを導入することで実現したい目的が社内関係者の中で統一されていなければ、その後の導入ステップで意見がうまくまとまらず、本来の目的とは違ったシステムが出来上がってしまう可能性があるからです。
まずは目的を明確にして、それを関係者内で意識統一しておくことで、その後の導入ステップで目的に沿った仕組みを構築することができます。
このように、テレワーク導入の第1ステップとして、自社がどのような目的でテレワークを導入するのかを明確にし、関係者で意識統一する必要があります。
ステップ2.導入体制の構築
テレワーク導入の2つ目のステップは、導入体制を構築することです。
テレワークの導入においてはプロジェクトチームを立ち上げるのがよいでしょう。
プロジェクトチームのメンバーは、テレワークに関わる制度や施策を担当する部署が中心となり、テレワークを利用することになる部署からは最低でも1名以上参加してもらいましょう。
テレワークにはITツールやセキュリティ対策が必要ですので、IT部門の参加も必須です。
このように、テレワーク導入の第2ステップとして、テレワーク導入に関わる部署のメンバーを招集し、導入体制を構築します。
ステップ3.導入範囲の決定
テレワーク導入の3つ目のステップは、導入範囲を決定することです。
テレワークには、在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィスの3種類があり、自社にどの範囲を適用するかを決定する必要があります。
また、利用する部門や頻度(完全に在宅勤務とするのか週に数日は出社するのかなど)も決めなくてはなりません。
このように、テレワーク導入の第3ステップとして、テレワークの種類や部門・頻度などといった導入範囲を決定します。
ステップ4.ICT環境の整備
テレワーク導入の4つ目のステップは、ICT環境を整備することです。
テレワークを導入すると、オフィス以外の場所にパソコンやモバイル機器を持ち出し社内ネットワークと接続することになるため、安全に利用するためにはICT環境の整備が不可欠です。
代表的なシステム構成としては以下の3種類が挙げられます。
- 通常のパソコンを利用し、VPN(バーチャルプライベートネットワーク)を使って社内ネットワークと接続する
- シンクライアント(ハードディスクを持たずパソコン)を利用し、実際のデータは社内のみに保存する
- 通常のパソコンに認証用USBキーを挿入して仮想シンクライアント環境を利用する
なお、セキュリティレベルを高く保つためにはシステムの整備と合わせてセキュリティポリシーの見直しが必要です。
例えば、システムへのログイン時のパスワードを定期的に変更する、パソコンのぞき見や電話の声漏れによるデータ流出を防ぐなどのように、テレワークならではの運用上の注意点をセキュリティポリシーに追加します。
また、テレワークが始まると、上司・部下や同僚と直接顔を合わせる機会が少なくなるため、コミュニケーション不足が問題視されがちです。
この問題を解消するためのツールとして、Web会議システムやビジネスチャットツールを合わせて導入しておくのがおすすめです。
Web会議システムはインターネットを介して映像・音声・資料等を共有する仕組みで、ビジネスチャットツールはSNSのように気軽でリアルタイムなやり取りができつつタスク管理などの業務サポート機能も有するツールで、いずれも比較的安価に導入することができます。
このように、テレワーク導入の第4ステップとして、セキュリティを考慮したテレワークのシステムを準備するとともに、コミュニケーション活性化のためのツールも合わせて導入を検討します。
ステップ5.テレワーク導入に伴う社内ルール作り
テレワーク導入の5つ目のステップは、テレワーク導入に伴う社内ルールを整備することです。
テレワークを導入すると、柔軟な働き方が可能となる反面、仕事とプライベートの境目があいまいになったり、時間管理がおろそかになりがちです。
また、オフィスワークのように上司が部下の働きぶりを監視することができないため、勤務時間を偽るなどといったさぼりや不正の温床にもなりかねません。
そのため、テレワークの運用に合わせて細やかな時間管理ができるよう勤怠管理の社内ルールを見直さなくてはなりません。
例えば、柔軟な働き方に対応するためフレックスや業務の中抜けを可能とするが、実際の業務時間を虚偽なく申告できているかどうかはアプリケーションの稼働時間と突合して随時確認を行うなどといった内容です。
(社内ルールを見直した結果、今の勤怠管理システムでは機能が不足するようであれば、システムも合わせて見直しが必要です)
また、テレワークを始めると上司が部下の日頃の勤務態度や目標達成までのプロセスを見る機会が少なくなるため、今までの評価制度では評価がしづらくなります。
このため、評価制度についてもあらかじめテレワークに即したルールに変更しておくのが良いでしょう。
例えば、プロセスと成果を半々の比重で評価していたが、成果を重視する方式に変更するとか、プロセスを可視化して評価項目として新たに定めるなどといった内容です。
また、変更したルールを社内で意識統一しておくことで、テレワーカー同士やオフィスワーカー・テレワーカー間で不公平を感じることなく、公平性を担保することができます。
このように、テレワーク導入の第5ステップとして、勤怠管理や評価制度をテレワークの運用に即したものに変更します。
ステップ6.教育・研修の実施
テレワーク導入の6つ目のステップは、教育・研修を実施することです。
テレワークの実施が始まると、自宅や外出先などで業務を行うことになり、システムの操作面やテレワークの運用面等で分からないことがあってもすぐに周りに聞くことができません。
そのため、新しいシステムの利用方法と、テレワークに合わせた新ルールの両方をあらかじめ習得しておく必要があります。
特に、災害時対策を目的としてテレワークを導入する場合には、いざ災害が起こった際にツールは用意しておいたけど結局使い方が分からなかったとならないように定期的に教育・研修を行っておくことが大切です。
このように、テレワーク導入の第6ステップとして実際にテレワークを導入する前に教育・研修の時間を必ず確保しましょう。
ステップ7.導入および効果の測定
テレワーク導入の7つ目のステップは、導入および効果の測定をすることです。
ステップ6まで準備が整えばいよいよテレワークを導入することができますが、導入してしまえばそれで終わりではなく、効果を測定することが大切です。
具体的には、定量面(顧客対応頻度や時間・オフィスコスト・業務量の増減など)と定性面(満足度調査・業績評価など)の両面から効果を測定します。
これらの数値から、当初想定したテレワーク導入の目的を達成できているかを確認し、達成できていない場合には改善点を洗い出します。
このように、テレワーク導入の第7ステップとして導入後に定量面・定性面の効果を測定し改善を行うことで、より有効にテレワークを活用できるようになります。
3.テレワーク導入時に知っておきたい2つのポイント
最後に、テレワーク導入時に知っておきたいポイントを以下の2点説明します。
- 助成金を受け取れる
- 導入時の無料コンサルティングを受けられる
順番に説明します。
ポイント1.助成金を受け取れる
テレワーク導入時に知っておきたいポイントの1つ目は、助成金を受け取ることができる点です。
厚生労働省管轄の働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)は、中小企業を対象にテレワーク導入・運用に関わる費用のうち半額を助成する制度です。
この制度は、時間外労働等の改善を目的としてテレワークを導入する企業を支援するものでしたが、現在は新型感染症対策を目的としたものにも適応されます。
働き方改革推進支援助成金の概要は以下の通りです。
条件 | 労働者災害補償保険を適用する中小企業事業主であること | |
---|---|---|
助成対象の取組 | テレワーク用通信機器(パソコン・スマホ等は対象外)の導入・運用 | |
就業規則・労使協定等の作成・変更 | ||
労務管理担当者に対する研修 | ||
労働者に対する研修、周知・啓発 | ||
外部専門家によるコンサルティングなど | ||
支給額(※) | 目標達成時 | 補助率 3/4 |
1人当たり上限 20万円 | ||
1企業あたり 150万円 | ||
目標未達成時 | 補助率 1/2 | |
1人当たり上限 10万円 | ||
1企業あたり 100万円 |
※新型感染症対策として導入する場合は、支給額は補助率1/2、1企業当たりの上限額が100万円になります。
このように、要件を満たす中小企業であれば助成金を使ってテレワーク導入時にかかる費用を半額支給してもらえますので、ぜひ活用しましょう。
ポイント2.導入時の無料コンサルティングを受けられる
テレワーク導入時に知っておきたいポイントの2つ目は、導入時の無料コンサルティングを受けられる点です。
厚生労働省管轄のテレワーク相談センターでは、無料の相談窓口を設定しています。
また、総務省管轄のテレワークマネージャー派遣制度を使えば、無料でコンサルの専門家を派遣してもらい支援を受けることが可能です。
(テレワークマネージャー派遣制度は年度事業のため現在は募集を終了していますが、今年度も同様の募集がかかるものと予想されます。)
このように、厚生労働省や総務省が導入時の無料相談窓口を用意していますので、コンサルティングを受けたい企業はぜひ活用してみてください。
まとめ
この記事では、テレワークの概要、テレワーク導入の7ステップ、テレワーク導入時に知っておきたい2つのポイントについて紹介しました。
テレワークをスムーズに始めるためにはいくつかのステップに従って導入作業を進める必要があり、さらに助成金やコンサル支援を知っておくと得をするポイントもあります。
ぜひこの記事を読んでテレワークの導入方法を正しく理解し、スムーズな導入を行って自社の生産性を高めてください!