「テレワークを導入したいがシステムについて分からない」
「システムにはどんな種類があるのか?」
このように悩んでいませんか?
実はこの記事を読むだけで、テレワークのシステムがわかり、導入がスムーズになりますよ!
今回は、テレワークの4つのシステム方式と必須ツール、導入の課題について解説します。
この記事を読んでテレワークを自社に導入し、生産性向上につなげましょう。
「テレワークのメリットは?企業の5つのメリットと従業員の3つのメリット」も併せてご覧ください。
1. テレワークとは
テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用し時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方のことです。
リモートワークは、働き方改革の手段として政府が後押ししたこともあり、徐々に企業への導入が浸透してきています。
ニューノーマルへの対策として、さらに多くの企業がテレワークの導入を始めており、今後導入率は加速度的に増えていくことが予想されます。
このように、テレワークとはICTを活用した時間や場所にとらわれない働き方のことで、企業にとってさまざまなメリットがあるため導入に踏み切る企業が増えてきています。
2. テレワークの4つのシステム方式
社外にいながらにして職場にいるのと同じ業務をしようとしたとき、さまざまな方法がありますが、ポイントは導入のしやすさや使い勝手とセキュリティのバランスです。
利用する対象者の範囲や業務内容、テレワークの形態によって、主に4つのシステム方式があります。
#1:リモートデスクトップ方式
オフィスに設置されたPCのデスクトップ環境を、テレワーク端末から遠隔で閲覧・操作するシステムです。
オフィスで行っていた業務をそのままテレワーク環境でも継続して実施でき、保存したファイルはオフィスにある端末に保存されるので情報漏洩が起きにくい点がメリットです。
専用のアプリケーションや専用機器(認証キーなど)を用意すればスタートできるため、導入コストも押さえられます。
#2:仮想デスクトップ方式
オフィスに設置されているサーバ上から提供される仮想デスクトップに、手元にある端末から遠隔でログインして利用するシステムです。
リモートデスクトップ方式と同様、テレワーク端末には作業した内容は保存されません。
オフィスに仮想デスクトップを管理するサーバを設置する必要などがあり、初期コストはかかりますが、セキュリティレベルの向上が期待できます。
#3:クラウド型アプリ方式
インターネットからクラウドサーバ上にあるアプリケーションにアクセスし、作業を行うシステムです。
アプリケーションの利用料以外、設備コストはほとんどかからないため安価で利用でき、どこからでもどんな端末でも同じ環境で作業ができます。
その一方、クラウド上で作成したデータはクラウド上にも端末にも保存先を設定できるため徹底した情報管理が必要になります。
#4:会社PCの持ち帰り方式
会社で使用しているPCを社外に持ち出し、主にVPN装置等を経由して社内システムにアクセスし、業務を行う方式です。
PCに業務データの多くが格納された状態で社外へ持ち運びすることになるため、盗難や紛失、情報漏洩などのリスクが高く、セキュリティ確保のためのコストがかかります。
以下に早見表を作成しました。
リモートデスクトップ方式 | 仮想デスクトップ方式 | クラウド型アプリ方式 | 会社PCの持ち帰り方式 | |
---|---|---|---|---|
概要 | オフィスにある端末を遠隔操作 | サーバー内の仮想端末を遠隔操作 | クラウド上のアプリケーションを利用 | オフィスの端末を持ち帰って利用 |
データ保存 | 保存しない テレワーク端末にデータを保持しない |
保存しない テレワーク端末にデータを保持しない |
どちらでも可 保存する・市内を選択できる |
保存する テレワーク端末にデータを保持する |
環境 | オフィスと同じ オフィスの端末と同じ環境を利用 |
テレワーク専用 個人に割り当てたデスクトップを操作 |
限定的にオフィスと同じ アプリに関してはオフィス端末と同じ |
オフィスと同じ オフィスの端末と同じ環境を利用 |
初期費用 | 比較的安いアプリなど | 高い専用のサーバーの設置など | 保井クラウドアプリの利用料など | やや高いセキュリティソフトなど |
メリット | ・社内の各PCに専用のソフトウェアをインストールすればネットワーク設定を変更する必要がない ・現行のPC環境をそのまま利用できる ・導入が簡単 |
・高いセキュリティを保持できる ・一元管理ができる |
・通信速度を気にする必要がない ・VPN装置の導入が必須ではないなど安価に導入が可能 |
・システムの導入条件が少なくすぐに実施できる ・通信が安定しない環境でも安定した作業実施出来る |
デメリット | ・社内PCの電源をオンにする必要がある | ・専用サーバーを新規で用意するなど大規模なIT環境の整備が必要 ・サーバーが停止した場合には業務が止まる可能性がある |
・簡単にデータへアクセスできるため情報漏洩やハッキングのリスクが高くなる | ・テレワーク端末に情報が残るため厳格なセキュリティ対策が必要 ・社内システムへアクセスにはVPN装置の導入が必要 |
3. テレワーク導入の必須11ツール
「無料プランがある」「すぐに導入が可能」「操作が簡単」の条件を満たすICTツールを目的別にご紹介します。
- 勤務・勤怠管理
- プロジェクト管理
- クラウドサービス
以下順に説明していきます。
(1)勤務・勤怠管理
分単位でテレワーク社員の勤務状況を確認する必要はありませんが、労働時間の管理、作業状況の確認など、最低限の管理は必要です。
連携して自動で社会保険などの書類を作成するもの、タイムカードの打刻がリアルタイムで把握できるもの、給与計算を自動計算するもの、中には従業員のPCのスクリーンショットをランダムに記録し勤務状況をモニタリングして管理するものなど、種類は多岐にわたります。
代表的なサービスとして以下のものがあります。
ジョブカン | 勤怠管理に合わせて社会保険や雇用保険の書類を自動化できるなど、様々な労務管理に対応することが可能です。 テレワーク導入による各書類の手続きや管理業務の負担を減らすことができます。 |
freee | 勤怠管理に合わせて給与計算やマイナンバーの管理、年末調整などの人事・労務管理を合わせて使うことのできるサービスです。勤怠管理については従業員による手動入力となります。 |
jinjer | PC、スマホ、タブレット、チャットツール、Apple watch、Google homeからの打刻が可能な勤怠管理システムです。 jinjerは勤怠管理以外にも、jinjer人事、jinjer労務、jinjerワーク・バイタル、jinjer経費、jinjerマイナンバー、jinjer採用などの様々なサービスがあり、それぞれとデータを共有することができます。 |
F-Chair+ | 従業員側のPCのスクリーンショットが不定期に記録され、管理者に提供されます。 従業員のタスクごとの生産性を計測や隠れ勤務防止機能、細切れの業務時間も集計することが可能です。 オフィスワークの時間管理をするのにも役立ちます。 |
(2)プロジェクト管理
テレワークでは、社員がどのような案件を担当し作業をしているか、ひと目で分かるようなプロジェクト管理システム・ツールが必要不可欠です。
プロジェクト管理ツールの中でも、タスク管理に特化したもの、工数管理に特化したものなど様々種類があるので、用途に応じて比較・検討しましょう。
代表的なサービスとして以下のものがあります。
Trello | タスクカードをボードに貼って情報を管理する形式のツールです。 進捗状況に合わせてカードの順番を変えたりリストを加えたりします。 付箋を貼ったりはがしたりする感覚で使え、視覚的にタスクのバランスや進捗状況全体を把握できます。 |
Jooto | Trelloと同じく、ボードとタスクカードを使って情報管理を行うツールです。 Trello同様、視覚的でわかりやすいため、初心者におすすめです。 |
(3)クラウドサービス
クラウドサービスは、テレワークをするには一番外せないシステム・ツールの一つです。
社外PCから簡単に社外秘のデータにもアクセスできてしまうため、情報漏えい、ハッキングのリスクもあります。
セキュリティブロック、アクセス制限などの設定が行えるものを選びましょう。
ドキュメント管理・共有ツールを使えば、遠隔地からでもスムーズに編集できます。
代表的なサービスとして以下のものがあります。
Googleドライブ | Googleアカウントに登録すれば誰でも使える無料のドキュメント管理システムです。 テキスト、画像、動画、音声などさまざまなファイル形式のデータが保存できます。 保存したデータはGoogleドライブ上で編集可能です。 ドキュメントの編集・閲覧の権限設定も容易に行えるため、情報漏えいの心配も最小限に抑えることができます。 |
Dropbox | オンラインストレージサービスのDropboxでは、テキスト、画像、動画とさまざまなファイル形式のドキュメントを保存できます。遠隔からデータ消去も行えるので、万一端末が紛失した際の情報漏えいの危険を最小限に抑えてくれます。 |
Quip | スプレッドシート・チェックリスト・チャットを1ヵ所で管理できるマルチデバイスに対応したドキュメント共有ツールです。 共同編集したいドキュメントは会社・部署・プロジェクトごとにまとめて保管できます。 複数メンバーとドキュメントを共有している最中にリアルタイムチャットも可能です。 |
(4)オンライン会議
オンライン会議とは遠隔地にいるメンバーと映像、音声で打ち合わせや資料共有、テキストでメッセージのやり取りをするコミュニケーションツールです。
デバイスとインターネット接続できる環境があればどこからでも会議できるため、テレワークに欠かせないツールといっても過言ではありません。
代表的なサービスとして以下のものがあります。
Zoom | 高画質・高音質で簡単にWeb会議が行えるZoom。 会員登録するのは会議のオーナーだけで、招待されるユーザーはオーナーが送った招待用URLをクリックするだけで会議に参加できるため、会員登録する必要はありません。 |
ハングアウト meet | Googleハングアウトの後継サービス 。オーナー以外の参加者は主催者からリンクを共有してもらえば誰でも参加できます。 マルチデバイス対応のビデオ通話サービスなので、どこからでも会議に接続できます。 |
4. 導入する際の注意点と解決策
テレワークは導入すれば終わりではありません。
テレワークで働いても、オフィスで働くのと同等の職場環境が提供できることが重要です。
「慣れるまで大変だから、オフィス出勤でいい」「在宅勤務を続けると、人間関係に影響が出そう」と、テレワークにネガティブな印象を持つ方も多いそうです。
テレワークでもオフィスと同等のスピードやクオリティで働けるよう、制度やシステムを整えるのはもちろん、テレワークで働くメリットや目的について継続的に伝えることが重要です。
以下課題をあげていきます。
(1)セキュリティ
テレワークは、社員がフレキシブルに働けて生産性がアップする反面、情報流出やハッキングなどの情報セキュリティ面でのリスクがあります。
社員がテレワークで用いる端末は、オフィスに設置されている端末と比べて管理しづらい状況にある場合がほとんどです。
そのため、万全なセキュリティ対策は欠かせません。
在宅勤務やモバイルワークでは、職場が定めるガイドラインやポリシーに従って行動するのが原則です。
そして、セキュリティ対策が十分に施されていない職場の外では、普段以上に注意を払って行動する必要があります。
例として以下のものが上げられます。
- パソコンやネットワークの暗号化などといったツールの整備を行う。
- 自宅プリンタからの出力を禁止したりパソコンのぞき見・電話の声漏れによるデータ流出を注意するなどの運用を徹底する。
(2)評価制度の検討
人事や上司の見えない所で働くため、従来の人事評価制度では正当な評価ができないケースが出てきます。
通り一辺倒の評価制度ではなく、その人の職場環境や成果に見合ったフレキシブルな評価制度の設計も組み直す必要があります。
同じ空間にいる際には、軽い相談や声がけが常に無意識に行われ、その総合的な「印象」が成果への気づきや評価に繋がっていました。
しかし空間を別にした場合、それらが全て失われてしまいます。
これを解消するためには、意識的に情報共有を行う事が必要です。
例として以下のものが上げられます。
・あらかじめテレワーク時の評価方法や一定期間の目標を上司・部下の間で共有する。
・上司は日報やメール・電話のやり取り等で部下の業務の定期的な確認を行い、活動内容を意識的にフォローする。
まとめ
この記事では、テレワークについて紹介しました。
テレワークは働き方改革や災害対策に欠かせない導入必須のワークスタイルですが、スムーズな導入のためにはポイントをおさえておく必要があります。
テレワークを正しく理解し導入することで、自社の生産性向上につなげていきましょう。