「在宅勤務をするメリットは何があるの?」
「在宅勤務のデメリットで気をつけることは何?」
ニューノーマルで、オフィス勤務から在宅勤務に切り替えを検討している企業は多いですよね。
実は企業側だけでなく労働者側のメリットとデメリットも把握しておく必要があるのです!
本記事では、企業側と労働者側の2つの視点のメリットとデメリットを紹介します。
最後には在宅勤務導入の注意点も紹介するので、この記事を読めば在宅勤務導入の実現に近づけますよ!
なお、在宅勤務の制度についてまとめているので、あわせてご覧ください。
1.在宅勤務のメリット
在宅勤務の企業側と労働者側のメリットを紹介します。
メリットを把握することで、在宅勤務導入の目的を明確にすることが可能です。
在宅勤務を導入することで、どのようなメリットがあるのか把握しておきましょう。
(1)企業側の3つのメリット
在宅勤務の企業側のメリットは以下の3つです。
企業側のメリットは、在宅勤務導入の目的に直結します。
順に紹介するので、どのような恩恵を受けることができるのかチェックしてください。
#1:通勤・移動にかかるコストを削減できる
在宅勤務に切り替えることで、通勤や移動にかかるコストを削減可能です。
オフィス勤務の場合、従業員の通勤のための公共交通機関の移動費や、業務中の移動で使う自動車のガソリン代、駐車場代など多額のコストが発生します。
また、オフィスを借りている場合は賃料も発生するでしょう。
在宅勤務の場合は従業員が移動する必要もないですし、大きなオフィスを借りる必要がありません。
そのため、オフィス勤務よりも支出を抑えることができるでしょう。
事業運営に割く予算が厳しい企業は、コストカットの1つの案として把握しておきましょう。
#2:事業を継続しやすくなる
働く場所がオフィスに限定されないことで、事業を継続しやすくなるのもメリットの1つです。
地震国家の日本ではいつどのような災害に見舞われるかわかりません。
ニューノーマルにより外出の自粛が推奨されており、事業活動に支障をきたしている企業も多いでしょう。
在宅勤務に切り替えればオフィスに出社する必要がなくなるので、災害などでオフィスが機能不能に陥っても事業を続けることができます。
事業存続の妨げになる要因を減らすためにも、在宅勤務の体制を整えておくとよいでしょう。
#3:全国から人材を雇える
在宅勤務の導入によって全国から人材を雇えるので、労働力不足の解消に役立つでしょう。
企業の中心となる世代は30~50代なので、ちょうど子育てや介護を担う世代でもあります。
特に女性の従業員は、家庭の事情により職場から長期的に離れることが増えるので、在宅勤務を導入すれば貴重な戦力の離職を防ぐことが可能です。
また、オフィスが本社のみで全国展開していない中小企業でも、場所を選ばずに労働者を確保できます。
北海道から沖縄、もしくは海外在住の人材を雇えるので、優秀な従業員を見つけて囲い込めば企業にとって大きな戦力になるでしょう。
柔軟な働き方を導入すると企業のイメージが向上しやすいので、労働力不足に陥っている企業は導入を検討してみてください。
(2)労働者側の3つのメリット
在宅勤務の労働者側のメリットは以下の3つです。
労働者のメリットを把握することで、効果的な働き方改革を進めることができます。
順に説明するので、労働者の立場ではどのようなメリットがあるのかチェックしましょう。
#1:通勤にかかる時間を作業に充てられる
通勤にかかる時間を効果的に使えるようになります。
1時間以上かけて毎日出勤している人も多いので、通勤にかけていた時間が自由に使えるようになるのは大きなメリットでしょう。
また、通勤による疲労も削減できる点も注目です。
特に都心部に通勤している人は満員電車に揺られながら移動しているので、労働の疲れに移動の疲れが加わります。
移動による疲労やストレスを軽減できれば、労働生産性の向上が期待できるでしょう。
#2:プライベートとのバランスをとれる
仕事とプライベートのバランスを取りやすくなるのも大きなメリットでしょう。
特に育児や介護をしている人は、働きたくても長時間外で働くことは難しいです。
在宅勤務ができるようになれば、育児や介護をしながら働くことができるので、安定した収入を得ることも可能になるでしょう。
また、育児休暇の取得が進んでいない企業でも、男性の育児参加が実現できるようになり、女性の負担を減らすことにもつながります。
従来であれば育児や介護などによって仕事を辞めなければならなかった人でも、安心して仕事をすることができるようになるので、従業員満足度の向上にもつながるでしょう。
#3:職場環境のストレスから開放される
職場環境のストレスから開放される点もメリットの1つです。
従業員の離職の原因の1つに、職場内の人間関係が挙げられます。
同じ空間に人が集まると、どうしても価値観のズレや背景の違いがある人と仕事をしなければなりません。
価値観や背景の違う人と上手く付き合っていくのも社会では求められますが、精神的に我慢ができないほど合わない人もいるものです。
在宅勤務にすれば接触する人数を最低限に抑えることができるので、コミュニケーションを取るのが苦手な従業員にとっては気楽に働くことができるでしょう。
人間関係など職場の環境が理由で離職する人が多い企業は、対策として在宅勤務を導入するのも有効です。
2.在宅勤務のデメリット
在宅勤務の企業側と労働者側のデメリットを紹介します。
在宅勤務導入を成功させるには、デメリットを把握し対策をすることが重要です。
順に紹介するので、在宅勤務の課題を把握しましょう。
(1)企業側の3つのデメリット
在宅勤務の企業側のデメリットは以下の3つです。
企業側のデメリットは、在宅勤務導入を成功させるために重要です。
順に説明するので、デメリットを把握して対策を取りましょう。
#1:勤怠管理が難しい
在宅勤務にすると従業員の勤怠管理が難しいのが課題です。
自分でスケジュールを立てて、真面目に仕事をする人は在宅勤務になっても問題なく作業を進めるでしょうが、自分で行動管理できない人は公私の区別がつかなくなり、生産性の低下が考えられます。
従業員は上司の監視の目から開放される分、管理者はより従業員を管理する意識を持たなければなりません。
たとえば、バーチャルオフィスを導入し勤務の様子を常にモニターに映したり、成果物の提出期限を設けたりして緊張感を持たせる努力をする必要があるでしょう。
チャットなどでコミュニケーションの頻度を増やし、上司や管理者は常に従業員の進捗状況の把握をしましょう。
#2:情報漏洩のリスクが高くなる
情報を社外に持ち出すため、情報漏洩のリスクが高くなるのは把握しておく必要があります。
社内ではファイアーウォールなどのセキュリティ設備が整っていますが、自宅で勤務する場合はサイバー攻撃を受ける可能性が高くなるでしょう。
また、セキュリティへの意識が低い従業員が外に持ち出し、パソコンを紛失させてしまう場合もあります。
それぞれの従業員がセキュリティへの意識を強く持たなければ情報漏洩の可能性が高くなるので、事前教育を徹底しアクセス制限を設けて必要以上に企業の情報を扱わせないようにしましょう。
#3:評価が難しくなる
在宅勤務では成果物の提出で評価することになるので、総合的な評価が難しくなります。
企業によって評価基準は異なりますが、多くの企業では労働意欲や労働過程の努力も評価の対象になるでしょう。
しかし、在宅勤務では業務の過程で評価することが難しく、単純に成果物の質で評価せざるを得ないため、実力主義になる可能性が高いです。
従業員からの反感も買いやすくなるので、特に技術面以外で評価していた従業員に対して小まめに連絡を取り精神的なバックアップを意識しましょう。
(2)労働者側の3つのデメリット
在宅勤務の労働者側のデメリットは以下の3つです。
労働者側のデメリットを対策することで、従業員満足度や労働生産性の向上が期待できます。
順に説明するので、効果的に在宅勤務を実施しましょう。
#1:プライベートとのメリハリがなくなる
プライベートとのメリハリがなくなるので、労働生産性が低下する可能性もあるでしょう。
普段の生活スペースで、自分の好きに時間を過ごすことができるので、ダラダラと仕事をしてしまいがちになります。
自己管理ができない従業員は、仕事とプライベートが混同しプライベート寄りの生活になってしまうため、業務の進捗に遅れが生じる場合があるでしょう。
仕事とプライベートの切り替えができるように、仕事開始時間や休憩時間を事前に決めておくことをおすすめします。
#2:コミュニケーション不足に陥る
自宅では他の従業員と顔を合わせることがないので、コミュニケーション不足が生じてしまいます。
円滑に仕事を進めるためには従業員同士の協力が必要なので、コミュニケーション不足は作業効率に影響するでしょう。
また、1人で仕事をするので孤独感を抱きやすく、精神的に不安定になりやすいです。
コミュニケーションツールの導入など、自宅にいても他の従業員と小まめに接することができる環境を整えましょう。
#3:労災の判定が難しくなる
労災判定が難しくなるのもデメリットの1つです。
労災と認められれば、労災保険が適用され保険給付を受けることができます。
しかし、在宅勤務では自宅内での行動がプライベートと混同するため、状況によっては労災と認定するのか判断が難しいでしょう。
ただし、厚生労働省が以下のような労災認定例を提示しているので、全く業務労災が認められないことはないようです。
以下“テレワーク導入ための労務管理等Q&A集”を引用。
「自宅で所定労働時間にパソコン業務を行っていたが、トイレに行くため作業場所を離席した後、作業場所に戻り椅子に座ろうとして転倒した事案。これは、業務行為に付随する行為に起因して災害が発生しており、私的行為によるものとも認められないため、業務災害と認められる」
従業員が安心して在宅勤務ができるように、労災が認定される例をいくつか提示しておくとよいでしょう。
3.在宅勤務を導入するときの3つの注意点
在宅勤務を導入するときの注意点を紹介します。
今回紹介する注意点は以下の3つです。
順に説明するので、導入時の参考にしてください。
(1)勤務開始時間を決めておく
公私が混同しないように、全従業員の勤務開始時間を揃えておくことをおすすめします。
作業開始時間を従業員に一任してしまうと、ダラダラと先延ばしにしていつまで経っても業務を開始しない人も現れるでしょう。
そのため、勤務開始時間を決めることで、出勤意識を高めることが重要です。
勤務を開始したら、上司のメールやチャット、電話で勤務開始報告をさせるとよいでしょう。
(2)ツールを活用して孤独感をなくす
従業員の孤独感をなくすために、コミュニケーションツールを導入しましょう。
たとえば、リアルタイムで小まめに連絡を取りやすいチャットツールや、従業員の様子を見ることができるバーチャルオフィス、チャットやメールではやり取りの効率が悪くなる場合に有効なテレビ会議ツールなどさまざまな種類があります。
円滑なコミュニケーションが労働生産性を高めるので、小まめに情報共有ができるようにしましょう。
なお、業務内容や従業員の人数などによって導入すべきツールは異なるので、ツール選びの際は参考にしてください。
(3)評価方法を明確にしておく
総合的な評価が難しくなるので、従業員が納得できるようにあらかじめ評価基準を明確にしておきましょう。
在宅勤務の場合、評価の基準は成果物の質になるのは避けられませんが、技術力が劣る従業員を救済するためにも、成果物の質以外の評価項目を設けると従業員のモチベーションを維持させやすいです。
たとえば、以下のように具体性を持たせると従業員の意欲を削ぐ事態を防ぐことができます。
- 勤務開始時間、休憩時間、勤怠終了時間など勤務状況を逐一報告しているか
- 成果物を速やかに提出できているか(提出期限を守れているか)
- 作業が遅れている従業員のフォローを行うなど、周囲への気配りができているか
- 積極的にコミュニケーションを図り、課題を見つけ出し自ら改善に取り組めているか
総合的な評価をしている企業は、必ずしも成果物の出来だけで評価しないことを明確に示して、従業員のモチベーションを上げましょう。
まとめ
在宅勤務を導入することで、企業側と労働者側両者にさまざまなメリットがあります。
導入するときはメリットだけでなく、デメリットにも注目してしっかり対策をする必要があるでしょう。
今回紹介した導入時の注意点を参考にして、在宅勤務を成功させましょう!
なお、在宅勤務の就業規則についてまとめているので、あわせてご覧ください。